とりかえ・ばや
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とりかえ・ばや

さいとうちほ

読み比べて欲しい

2015年5月21日
やはり氷室冴子さんの「ざ・ちぇんじ」を思い出しました。「なんて素敵にジャパネスク」と同じ竹内直美さんがマンガ化されています。
あたしは大学院を出て中古の博士号を取得しているので、現代語訳も原文も読みましたが「とりかえ・ばや」の方が原作に近いですし、官位表が巻末にあったり、儀式の説明が細かったり、当時の宗教観にも比較的忠実なので、初心者向けで誤解を招きにくく、読みやすいと思いました。ただやたらとシリアスですが、原作はあれでもコメディ扱いです。
それに対し氷室冴子さんは、古典文学の現代語訳や解説、平安時代の文芸小説、作中の短歌まで書かれていた方なので、時代をしっかり知り尽くした上で、確信犯的に主人公に現代的な視点や考え方をもたせているのがわかります。
また綺羅が前向きで即断力があり楽観的でたくましいので、作品自体が明るくコメディタッチです。キャラも個性豊かで特に内侍と女東宮が別人です。
もちろん、どちらも面白いです。
同じ作品をベースにしてここまで対称的なのも作家さんの個性ですし、読み比べもありかな、と思いました。
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