シティ・ライツ・バースデイ【電子限定描き下ろし付き】
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シティ・ライツ・バースデイ【電子限定描き下ろし付き】

本郷地下

世界にオメガバース設定が本当にあったら

ネタバレ
2025年11月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幼少期に出会った運命の番を捜すΩの男と、そのΩの役に立ちたいと、一緒に捜すことを提案したβの男。運命を否定しない二人の運命ではない本物の恋のお話。
今までオメガバースを色々と読んできましたが、一番私たちの世界に近い世界線が描かれていると思いました。偏見や差別が強く描かれることもなく、発情に左右されすぎることもない。その他の部分を普通の世界に溶け込ませ、強烈な性設定を排除したからこそ、運命だけが色濃く残り、特別なものとして印象づける。そして、その運命にまっすぐに向かうからこそ生まれる、運命ではない感情。運命と現実の狭間で起こる切ない想いが悲しくて優しい。感情が揺さぶられ、考えさせられるお話でした。
運命の相手に会いたいという希望を頼りに生きてきたまほろ。それは蓮も同じで、二人にとって運命は生きる糧だった。だけど、生きていく過程で得たかけがえのないものを大切にしよう、そんな選択ももちろんあるんだという当たり前のことに気付かせてくれる温かいストーリーが胸に響きました。
そして、この作品の素晴らしさをあとがきで作者様自らが簡潔にまとめられていて、その言葉選びがまたとても素敵でした。今まで読んだどのオメガバースよりも全てが現実的な作品だと思います。
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