人魚心中【コミックス版】
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人魚心中【コミックス版】

鹿島こたる

破滅の音が警鐘の様に鳴り響く…

ネタバレ
2025年12月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊作者様買い。月夜に浮かぶ禍々しい美しさと狂気を含んだような笑みでいつの時代も人々を魅了してきた人魚。
また、その人魚の歌声に導かれるようにして出会った水島も例外なく溺れ破滅の道を辿る。

ヤクザと人魚という異色の組み合わせを見事に融合させ、グロさもありつつ圧倒的耽美な世界と官能的な描写に魅せらました。

正気とは思えない行為の裏側には、弥勒菩薩を心の拠り所としていた水島の闇があって、目の前に現れた人ではないモノへ固執していく姿が彼の歪んだ人生そのものに思えてしまいました。

【ネタバレです】
重く苦しいテーマなんだけど、シュールな部分とミロクと名付けられた人魚が屈托がなく悪意がまるでないだけに、可愛くもあり得体の知れない怖さもあり。
今まで人間に好き勝手されてきた事を恨む訳でもなく、ただ退屈な毎日を流され気ままに生きてたミロクが、同じく水島への執着を覗かせ、支配する側へと立場を逆転していき…
また、唯一の良心でもあった佐々木の存在にまで手にかけてしまった花火の夜。どうしても手放したく無いと縋る水島とお互いの視界に入る「綺麗」が噛み合ってないのがまた滑稽でかつ印象的なシーンでした。

水島の心を蝕んできた毒が回りきった頃、最終的に出会った人間がたどり着く末路、自らの死か人魚を手放す事で解放されていた2つの方法以外の第3の選択。今まで誰も望んでこなかった永遠に救われない未来を共に過ごす、、誰かに奪われる位ならと躊躇なく選んだ水島。たとえ狂っていたとしても究極の愛だと思いました。
その後誓いを立てる様にミロクが顔を赤らめ、残された小指を食い千切る、リアル指切りげんまん状態にゾワっとしました。
あの美しい姿も盲目の佐々木が見ていたのが本来の姿なのだろう…と。

人魚に魅せられたもう1人の人生、矢野によって手放した者が解放される事なく、呪いの様に渇き苛まれる日々とを同時に見せられ、どっちも生き地獄じゃん!と。ただ、船の上で逢瀬を繰り返す水島とミロクにはこの上ない天国なのだろうと思いました。
水島の言う57億7千万の時が巡ってきたら、その答え合わせができる日がくるんでしょうか…
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