このレビューはネタバレを含みます▼
ずっと読むのが怖かったんですこれ。
だってこの表紙。大好きな村上キャンプ先生だけど何を読むことになるんだろう、戻ってこられるかな私って、躊躇い続けていた作品でした。
蓋を開けてみれば想像とは少し違いました。
怖くはないんだけど胸が苦しいよ〜。
ひとつ前に読んだ「ベリーメリー〜」のような作品も大好きなんだけど、傑作という言葉を使うとなると心の震度がより大きかったこちらかなと。これまで読んだ先生の作品の中でも一番衝撃を受けました。
中途半端な時期に転入してきた伊織は見るからに訳あり陰あり。そんな彼が、明るく親切でクラスの人気者の吉見には徐々に心を開いていき、ついには唯一の希望的存在になっていく過程が実に丁寧に描かれています。
家庭に恵まれなかったのが、読んでる私の方が心底悔しくなるほど伊織は善人。本来なら、彼が求めてやまない「普通」に友と遊び勉強をし青春を送れる子だったのに。いや短い間だったけど吉見とはそれが出来たはず、とせめて思いたい。
先生の手腕がいっそ恨めしいほどのラストにしばらく呆けてしまいましたが、想像は自分だけのものですから、私は「全てをかなぐり捨てて伊織の元に来た吉見」ということで結着をつけました。
つけたんですよ、でもその後Xで番外編を読んで…本編を読み終えた時以上に動揺してしまい。今も「どうしようどうしたらいいの」と泣きそうになりながらレビュー書いてるんですけど、心の底から突き上がってくる私の正直な気持ちは、伊織の言う「吉見らしくないこと」「お前には似合わないこと」を吉見にして欲しいんです。伊織の本音は言わずもがな、吉見自身もそうしたいように見えたからです。
どこまでも読者を揺さぶりまくる罪深い天才村上キャンプさま。あとがきで泣きながら笑ったのは初めてですよ。何かぶってるですか(泣笑)
とんでもない傑作をありがとうございます。しばらくこの作品のことが頭から離れないと思います。