仇椿ゆがみて歯車
」のレビュー

仇椿ゆがみて歯車

吹屋フロ

哀しい運命が巡り巡って

ネタバレ
2026年7月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ かつて愛した男を斬り殺した稀代の剣の達人が、仇討ちにやってきたその息子の望みを叶えてあげるお話。
憎むべき相手を愛してしまった一馬、仇討ちにやってきた息子に惹かれる間宮。親子共々惹かれ合い、その相手と対峙しなければならない運命が切なく哀しいです。そしてその切ない運命を現在〜過去〜そして現在へと繋ぎ、二人の心情を丁寧に描写しているのがとても素晴らしく、400P超えの大作ですが、あっという間に読み終えてしまうくらい、夢中になってしまう一冊でした。
この時代ならではの武士としての生き方を全うするか、己の愛を貫くのか。思い悩むは若き侍一馬で、間宮は自分の人生を振り返り、これが運命だと受け止めようとする。それでもやはり一馬は武雄の子、愛する人は切れないと自ら逃げ出してしまいます。状況的には一馬の方が辛く苦しく悩んだのだろうと思います。抜け殻のようになったところで、間宮が会いに来てくれて、その途端頭の回転数が上がったかのような名案で、間宮と一緒にいられるようにした一馬の最後は本当に素敵でした。安心した一馬が溺愛ワンコ系になるところは最高に可愛かったし、やっと二人が本当の姿で幸せになってくれて良かったと思いました。時代モノが好きな人は絶対に読むべき名作です。
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