フォロー

0

フォロワー

0

総レビュー数

38

いいねGET

9

いいね

0

レビュー

今月(11月1日~11月30日)

レビュー数5

いいねGET2

シーモア島
ベストアンサー0
いいね0
投稿レビュー
  • やめろ好きになってしまう

    もりぐちあきら

    陰キャ男子の疑心暗鬼とドキドキ感
    2025年11月18日
    陽キャ美少女の好意を信じ切れずに疑心暗鬼に陥る、のだがやっぱりドキドキしてしまう。そんな陰キャ男子の心のキビをうまく描いている。この時期が一番楽しいというか、生きてるって感じがする時かもな。でもなんで美少女がこの陰キャを好きになったのかわからん。バスケやってるときに背中と背中がぶつかってから気になりだしたらしいのだが、チョロすぎないか。中高生ってこんなもの? 疑心暗鬼のドキドキを描くことがメインで、きっかけは大事じゃないんだろう。
    いいね
    0件
  • 王子様の友達

    すけろく

    おもろかわいらしい
    2025年11月17日
    いろいろデッカい美少女は王子様と呼ばれて女子にモテまくり。幼なじみの少年は、モテるすべを彼女に教わろうとするが、彼女の指導にはどこか違和感が……というお話。
    少年のことが好きな美少女が、モテ指南にかこつけて自分がしてほしいことをさせるのがかわいらしい。ギャグも普通におもしろい。
    いいね
    0件
  • 【合本版】大正もらい婚~10月の花嫁は姉を愛する義兄に嫁ぐ~

    彩綺いろは/グルナ編集部

    葛藤→いい子パワー→解決!
    2025年11月17日
    いい子の主人公が虐げられているが、その善良さで周りを魅了して幸福になるという、王道中の王道を行くお話。それが悪いとは言わないが、他人との葛藤があると主人公がいい子パワーを発揮してあっさり相手が改心して解決! の繰り返しが安易かつ単調で、さすがに曲がなさすぎる。
    いいね
    0件
  • センチメントの季節

    榎本ナリコ

    若さと性と心と
    2025年11月14日
    中学生から大学生までの、大人になる直前の若者の性にまつわる心の痛みの諸相を繊細に描く。連載前半の読み切りも刹那的な少女たちの思いを切り取る形式として悪くないが、後半、続きものになってからのほうが掘り下げが利いていてより読み応えがある。登場人物たちがそれぞれに抱えた欠落を埋めようともがいたあげく破綻を迎える第7巻が全巻の白眉で、作中人物の詠む短歌は作者オリジナルだそうだがかなりの出来栄えだ。
    いいね
    0件
  • バクチグイ

    野﨑花一/吉田史朗

    よくある博打もの
    2025年11月13日
    失踪した兄を助けるため、生きて帰った者はいないと言われる都市伝説的な博打の勝負「沼」に身を投じる青年の話。絵はきれいだし、話も(多少首を傾げたくなるところはあるにせよ)まずまずだが、万事あっさりしたり中途半端だったりで、スッキリしない。所詮庶民は大きな力に翻弄されるだけの弱い者という思想が作品の根底にあり、大逆転の大勝利なんてものはなくて当たり前なのだろう。それはリアルとも言えるが、そもそもの設定が荒唐無稽なので、痛切に身につまされるわけでもない。薄味な作品。
    いいね
    0件
  • 聖モエスの方舟

    榎本ナリコ

    理屈抜きの解決
    ネタバレ
    2025年10月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公が犠牲となって解決をもたらす型の話。その場合、その犠牲が解決となる理由が必要だが、この作品にはないため、読者は急に放り出されてしまった感じを受ける。「願いの力」がそれだと言われても、なぜ主人公にそんな力があるのかが不明。主人公がそんな力を持っていることが作品世界の中の理屈で裏付けられておらず、いわゆるデウス・エクス・マキナ的なものになってしまっている。
    星二つ寄りの三つ
    いいね
    0件
  • だから僕達は幼馴染を辞めた。

    あおみ現場/書峰颯

    若い頃はいろいろありました…的な
    ネタバレ
    2025年10月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 男女3人の幼馴染の間に恋愛感情が芽生えるが、嫉妬やエゴ、劣等感などのせいでしっかりとしたコミュニケーションがとれず、こじれてしまう。しかもその裏には部外者の無責任な干渉があって…という話。
    登場人物それぞれの特徴がきちんと設定してある感じは好感が持てる。しかしその掘り下げが粗く甘いと感じる。それはカジュアルに読める物語を目指した意図的なものかもしれないので、そこは減点しない。
    それよりも、幼馴染の女の子の壊れっぷりがさすがにそうはならんやろという感じで興ざめ。画力があれば押し切れたかもしれないが、このライトな絵では説得されない。
    なにより、3人の関係をこじらせる原因を作ったうえ、その後もいろいろと迷惑(という言葉では足りない)かけた人物と家族ぐるみの付き合いになるのもありえない。こういう現実にはありそうもないことを読者に信じさせるには絵や話の力が足りない。
    足が不自由だとペダルが踏めないだろうが、それでプロのピアニストになれるものなのかも気になる。
    いいね
    0件
  • 歌集

    榎本ナリコ

    歌から物語へ
    2025年10月17日
    流行歌や教科書に載るような短歌や唱歌に触れて、何かしらの思いをかき立てられた人々の物語を集める。作者のレベルでいえば、既存の歌に込められた主題を作者なりに受け止めて、その主題を表現できる新たな物語を作り出しているわけで、神話や童話を題材にした同じ作者の『寓話ーアレゴリア』と同じ手法と言える。既成の素材の再生、再解釈がうまい作者だ。
    いいね
    0件
  • 少女ゴーレムと理科室の変人たち

    榎本ナリコ

    まだ展開しきっていない感じ
    2025年10月16日
    そこそこおもしろいのだが、この作者にしては心の掘り下げが甘い感じがして食い足りない。媒体がホラー誌だから? それよりも、後書きによるとまだ描きたいことがいろいろあるらしく、それらを読まなければ作品世界の全貌が明らかにならないと見る方がいいのか。続きを描いてほしい。
    いいね
    0件
  • 制服を脱いだら

    奏手ユミチ

    型のミルフィーユ状態
    ネタバレ
    2025年10月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 谷崎や川端も好んだ母の身代わりの娘のテーマを軸に、養父と養女、教師と生徒、さらには恋人に男をあてがうというネトラセ(未遂)も重ねるという、話の型のミルフィーユ状態だが、特に違和感なく成立している。
    母親の身代わりとして接するうちに、男が娘と母親の違いに否応なく気づかされた結果、娘を愛するようになる展開はいいと思う。やはり誰しも、誰かの身代わりでなく、自分自身として認められるのであってほしいから。

    タイトルは、制服を脱いで母親の形見のワンピースを着て身代わりを演じるというのが主たる意味だが、高校を卒業したら結婚するという意味も読み取れそうなハッピーエンドだ。
    いいね
    0件
  • とつくにの少女

    ながべ

    話をまとめることの難しさ
    2025年9月26日
    サバトの牡山羊を思わせる獣頭の男と、無邪気な幼女の二人暮らし。男は女の子を大切に守っているが、呪われた身である彼は彼女に触れることができないーー。
    古い寓話のような陰りのある物語で、かすれたような絵柄も物語にふさわしく、非常に雰囲気のある作品。途中まではその雰囲気に浸ってとても楽しめたが、終わり近くにそれまでの設定を覆したり、過度にぼかしたラストにしたりして、話の着地点をうまく見つけられなかったように見えるのは大変残念で、星を伸ばすことができなかった。話を終わらせるというのは難しいことなのだなと改めて思った。
    いいね
    0件
  • 七瀬さんの恋が異常

    東雲とむ

    執着愛の行方
    2025年9月24日
    凡庸な男がマッチングアプリで出会った美人女子大生に猛アタックされるが、彼女は実はーーというお話。何の取り柄もない男がこれといった理由もなく美女にモテるのは男性向け漫画の定番で、読者に夢を見せるという漫画の役割からして別にかまわないが、いちおうこの作品ではそれなりに理由が用意されている。主人公が美人女子大生と付き合ううちに自分も彼女と同じ⚪︎⚪︎ー⚪︎ーになってしまうのはご愛嬌。似たもの同士、末長くお幸せに。
    いいね
    0件
  • たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。

    杠憲太/藍藤唯/霜降(Laplacian)

    どこにも魅力がない
    2025年9月24日
    キャラにビジュアル的にも性格・属性的にも魅力がない。エピソードも弱い。人間関係の描き方も浅い。主人公が〈職業〉を誰かに譲渡した件が回収されずに終わったのは、原作が継続中なのに漫画が終わらねばならなかったからだとすればしかたないが、そこを割り引いても面白くない。
  • 僕だけを見てくれ

    ひとりぼっち

    循環する三角関係
    2025年9月24日
    少年A→少年B→少女→少年Aという、全員が片思いの循環する三角関係のお話。片思いの相手の幸せを願うことがかえって不幸を生むという皮肉な状況が描かれる。榎本ナリコの『スカート』をよりシンプルにしたような話で、読みやすくわかりやすい。
    いいね
    0件
  • ピチカートの眠る森

    幸村アルト

    少年少女の癒やしと立ち直り
    2025年9月24日
    心に傷や重荷を背負った少年少女が妖精たちと一夏を過ごす中で癒やされ、立ち直っていく物語。ハリネズミの妖精がユーモラスかつあくまで優しく紳士的で思いやり深く、彼がいる限りこの子たちにひどいことは起きないだろうと安心して見ていられた。やさしい気持ちになれるいい話。妖精の足音が「ロンッ」というピチカートだというのはとてもいいと思うが、何か元ネタはあるのだろうか
    いいね
    0件
  • チ。―地球の運動について―

    魚豊

    知性礼賛ではない
    ネタバレ
    2025年9月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 地動説を追究した人たちが迫害されるさまを描くフィクション。ただし、地動説=科学=知性=真実=正義、天動説=宗教=妄想=虚構=悪という単純な二項対立ではなくて、知性偏重の危険性も描き込んである。そのために同名の人物を再登場させたのが得策だったのかは判断の分かれるところだろう
  • 狂蝕人種

    室井まさね

    B級ホラー映画のノリ
    ネタバレ
    2025年9月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 人間にしか感染しないウイルスが生み出す異形の不死身モンスターに襲われる主人公たち。外国のリゾートの島は過酷なサバイバルの現場となる、という話だが、モンスターの造形や能力がワンパターンなので飽きてしまう。日本人である主人公たちだけは感染しても人の姿と人格を保てるという新展開はあったが、掘り下げも謎解きもなく、唐突な感じであっさりと終わる。打ち切りなの?
    とにかくグロいモンスターが出てきてこわい〜というシーンを続ければいいんでしょという安直な作りはB級ホラー映画のよう
    いいね
    0件
  • 鬼ゴロシ

    河部真道

    超人的タフガイの凄絶な復讐劇
    2025年9月7日
    妻子を殺され、自らも頭を撃たれて意識不明のまま、妻子殺しの罪を着せられて15年の月日を刑務所で過ごした男の凄惨な復讐劇。超人的なタフガイがどんどん人を殺していくところが興味の中心だが、鬼の伝承の残る土地の秘密とか、敵の組織の敵も現れての三つどもえの抗争劇の行方など、飽きさせない。
    いいね
    0件
  • アイアムアヒーロー 完全版

    花沢健吾

    風呂敷をちゃんと畳んでくれ
    2025年9月5日
    30代半ばの青年漫画家の仕事や恋の悩みをリアルに描く日常系の作品かと思ったら、いつのまにかゾンビパニックホラーになっていた!日常の中に少しずつ不穏な気配を混ぜ込んでゆくさじ加減が絶妙で、大きな方向転換も違和感を感じさせない。その後はとにかくゾンビが怖いし、さえない漫画家が趣味の銃でヒーローになっていくさまが痛快で、ページを繰る手が止まらない。これで広げた風呂敷がちゃんと畳まれたら名作だったのに…。
    いいね
    0件
  • おとりよせ王子 飯田好実

    高瀬志帆

    お取り寄せの品の宣伝
    2025年9月2日
    食品お取り寄せにはまっている主人公が次々と食レポを繰り広げる。結局、お取り寄せの品の宣伝以上のものではないかな。そこに振り切ったことを評価する人にはいい漫画。
    一話だけ、主人公が食や料理にこだわる理由に触れた回があり、かろうじてストーリーを伴う漫画にしたてた意味があった。
    いいね
    0件
  • 榎本ナリコ+野火ノビタ

    榎本ナリコ

    熱心なファンなら読んでもよい
    2025年9月2日
    同人作品や初期作品の集成。この作者らしく丁寧な後書きがあって、そこで本人が認めているように、絵、話ともに未熟さは明らかで、作品よりも後書きの自己解説に意味がある。
    熱心なファンなら読んでおきたい。
    いいね
    0件
  • 失恋未遂

    高宮ニカ/イアム

    3組の大人の恋
    2025年9月1日
    1組目は最悪の別れ方をした元カレと職場で再会。2組目は卑屈で酒癖の悪いポチャ子とイケメン。3組目は塾講師女性とバイト講師時代の元教え子。
    1組目は若さゆえの未熟さと捉えておきたい。
    2組目の女性の酒癖にはちょっと無理がある気もする。
    3組目の男はけっこう悪い男だが、女も応じているのだから同レベル。破れ鍋に綴じ蓋といえよう。
    長すぎると感じた。時間潰しにはいいかもしれない。1組目の兄嫁が泣いたのはほったらかし?
    いいね
    0件
  • DOCTOR PRICE

    有柚まさき/逆津ツカサ

    医師限定の人材紹介業
    2025年8月31日
    感じ悪い主人公がなぜそんなに金を稼ぎたいのか、ただの守銭奴なのか、それともーーという、ブラック・ジャック以来のよくあると言えばよくあるお話。医師限定の転職支援という仕事を知らないので興味深かった。
    プロ野球のドラフト候補だったという設定がほとんど生きてないのはもったいない気がした。8年間昏睡状態にあってから目覚めた人が2年後には文章で能力を発揮してるというのも、そんなに簡単にいくものなのかとやや気になった。
    いいね
    0件
  • それでも愛を誓いますか?

    萩原ケイク

    30代夫婦の危機
    2025年8月29日
    専業主婦になって社会から隔絶し経済力をなくした妻の寄る辺なさとか、横暴な父親を見て育った夫の親になることへの不安とか、昇進をほのめかされて果たされない時の失望とか、老いた親への愛情と嫌悪感の入り混じった気持ちとか、きょうだい間の不平等への不満とか、現代人が多かれ少なかれ感じているだろう心情が非常にうまくすくい上げられている。
    一回りも年下の若い男にまっすぐな思いを向けられるのは読者に夢を見せようとしているのだろうが、男の性格や主人公にひかれていく過程を丁寧に書くことで無理を感じさせない。荒唐無稽の同義語としてのマンガ的なところがほとんどなく、迫真性で読ませる作品
  • ミギとダリ

    佐野菜見

    美形で笑える
    2025年8月28日
    母を殺した犯人を探すために2人で1人を演じる双子の物語。

    とあらすじを書くとミステリーっぽいが、大筋はギャグ漫画で、美麗な絵と双子のやってることのばかばかしさとのギャップから生まれるおかしみを楽しむ作品。最後はミステリーとしてもきっちり片をつけ、大団円。作者が若くして亡くなってしまったのは惜しまれる。
  • trash.

    D.P/山本賢治

    勢いのある殺戮物語
    2025年8月27日
    女子高生の2人組の殺し屋が明るく仕事を果たしていく。ほかにも多彩な殺し屋たちが登場して、どんどん人が死んでいく。死に方もとにかくスプラッターで、真っ二つにされたり、強力な銃器で吹き飛ばされたりして、中身をぶちまけがち。
    殺し屋たちは街中で対戦車砲をぶっ放したり、ヒーローもののようなコスチュームだったりで、現実感は皆無。超人たちによるバトルものに近い。
    テコ入れなのか、途中からエロの回数も嗜虐度も上がっていったけど、絵柄のせいか全くエロくない。スプラッターなのにあまりグロく感じないのも同じ理由だろう。
    テンポがいい。主な登場人物たちがたどる末路も、この手の物語としてはまあそうなるよなって感じで、グロが苦手でなければ全体としてはまずまずのエンタメだと思う。
    死んだはずの妹がモンスター化して出てきたことと、最後のライバルに弾が当たらないことの理由が作品内で明らかにならなかったのは減点要素かと。
  • おくることば

    町田とし子

    向き合うことの難しさ
    ネタバレ
    2025年8月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ よかれと思ってしたことが人を傷つけたり、逆に自分のためにしたことが人に感謝されたり。思い込みやごまかし、人任せなど、真実や自分の弱さ、醜さに向き合うのは難しかったり。
    それぞれに心を持った人間が関わり合うとき、いろいろな行き違いや葛藤が起こり、何が正しいとか、誰が悪いとか、一概に言えることなんかほとんどないということを見せてくれるところがいい。
    ただ、どんでん返しを可能にする家族の意思、これはいただけない。家族ならこんなことはなかなか言えないし、しかもそれが2組もというのは無理があると思う。
    あと、幼なじみの顔が怖すぎる。どう見ても狂気じみた犯人顔だけど、ラストから振り返るとなんでこんなに怖い顔してたのかわからなくなってる。後書きによると構想の揺らぎのせいらしく、話が固まってないならどう転んでもいい顔に描いといてほしかった。
    いいね
    0件
  • 少年のアビス

    峰浪りょう

    現代の地獄めぐり
    ネタバレ
    2025年8月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ さまざまな地獄が次々と繰り広げられる。ある少女が地方という地獄からの脱出先として憧れた東京も、別の少女をもっとおぞましい地獄に落とした場所でしかない。この地獄から逃れるには心中という絶望的な解決策しかなく、物語は主人公が女性と交わした心中の約束を軸に展開する。しかし物語は最後に、冒頭の心中の約束を鮮やかに反転させる。それは曲の初めに登場した短調の旋律が、最後に長調になって戻ってくるのに似ている。
  • クソ女に幸あれ

    岸川瑞樹

    才能はあると思う
    2025年8月12日
    いろいろ描きたいことがありそうで、それをあるいはエモく、あるいは鋭く描く腕は持っているけど、バラバラな感じ。〈あれっ、前は〇〇って描いてたのに…??〉〈えっこんなに掘り下げといてそれだけ…??〉などと感じることが多い。
    人物の心理を丁寧に描いているが、その心理を生んだ状況とマッチしていないので、せっかく細かく描いても宙に浮いた感じがする。登場人物のセリフや内言で心理を説明することが多いのは、少年誌だからというだけでなく、心理と状況が必然としてつながっていないのを作者の理屈で強引に結びつけようとしている面があるだろう。言ってみれば人物が作者の代わりに言い訳をしているのであり、人物が生身の人間ではなく、作者の人形のように感じられてしまう。もっと行動や表情、状況それ自体から読者に読み取らせるようにした方がいい。
    個々のエピソードをエモく描く能力は高いので、この人の読み切りや短編を読みたい。
    いいね
    0件
  • 君は放課後インソムニア

    オジロマコト

    青春そのもの
    2025年8月12日
    不眠症の少年・中見は高校の天文台で眠る少女・曲に出会う。心臓に欠陥を抱える曲は眠りのうちに命を落とすことへの恐れから、中見は幼いころ寝ているうちに母親に去られた心の傷から、夜に眠れなくなっていたのだ。不眠症の二人は天文部員として行動を共にするうち、心を通わせ、互いをかけがえのない存在としていく。
    柔らかな線で描き出される女の子、自然、街並みは情感豊か。説明的なセリフやナレーションに頼らず、擬音すら排した静謐な情景描写によって読者を説得していく。登場人物は脇の一人一人に至るまで血が通っており、それぞれに優しく誠実で、精いっぱい生きている。
    傑作。
    いいね
    0件
  • 初恋ゾンビ

    峰浪りょう

    初恋+スケベ=初恋ゾンビ
    2025年8月11日
    多くの男は初恋を実らせることはない。でも忘れ去ることもできない。初恋の相手は理想化されて心の中に住み続ける。ーーそんな男の恋のあるあるをカタチにして心の外に可視化したのが初恋ゾンビで、セクシーに理想化された女の子たちの幻が、憑依霊のように男たちの頭上を漂っているのだ。
    主人公の初恋ゾンビであるイヴ、初恋の相手でイヴのモデルの指宿、幼なじみのグラマラス美女・江火野の3人のヒロインがそれぞれ魅力的で、初恋ゾンビが見える特殊能力を持つ主人公・タロウと作る四角関係がどうなっていくのか、先が気になる良作。ただ初恋ゾンビという設定が特殊であっただけに、完全には処理しきれなかった感があるのが惜しい。
    いいね
    0件
  • 湯けむりスナイパー

    松森正/ひじかた憂峰

    これぞ劇画である
    2025年8月10日
    平穏な暮らしに憧れて殺し屋をやめた中年男・源さんが、再就職した秘境の温泉宿で出会う人間模様ーー。
    男くさ〜い劇画の世界をこれでもかと堪能させてくれる。話は初めのうちはオチもひねりもないエピソードの羅列だけど、それでも絵柄と源さんのキャラの濃さで十分成り立っている。それが後になるにつれて話も深みが出てくる。こうなると無敵だ。
    同じ作者が小池一夫を原作に迎えた時代物『片恋さぶろう』もおすすめ。
    いいね
    0件
  • 憧れの公爵令嬢と王子に溺愛されています!? 婚約者に裏切られた傷心令嬢は困惑中【単話版】

    司代こえ/頼爾/鳥飼やすゆき

    印象が弱い
    2025年8月7日
    ライトノベルの受賞作のコミカライズ。魅了の呪具を使う令嬢に婚約者がたぶらかされるというよくある話だが、それを5組のカップルに拡大し、それぞれのその後までたどるのが個性か。コンプレックスまみれのヒロインが両親や新しい婚約者である王子の愛を信じられるようになるまでの成長物語……なのだが、読み終えて印象に残った場面やカット、セリフがない。それなりにドラマが起きているはずなのに平板で、淡々と終わったように感じてしまった。
    いいね
    0件
  • あそこではたらくムスブさん

    モリタイシ

    低山をピクニックするかのよう
    2025年8月5日
    まじめな男女が少しずつ距離を縮めていくさまを描く。普通なら山あり谷ありにしそうなところ、谷はほとんどなく、ただゆっくりゆっくり登っていって、登り詰めたところで終わる。展開のしかたとしては珍しいかも。

    ムスブさんはまじめだけどカチコチではなく女性的な柔らかさに満ちていて、少しずれているところがいかにもおぼこっぽくてかわいい。そんなムスブさんを砂上くんがひたすら大切にしているのがいい。
    作中のムスブさんの母親や友達と同じように、あたたかく見守りたくなる二人でした。
    いいね
    0件
  • ヒメゴト~十九歳の制服~

    峰浪りょう

    大人への通過儀礼
    2025年7月30日
    欲望を持て余した3人の若者の、あまりにも濃厚なひと夏の物語。ラストが象徴するように、もう高校生でもない、けれど大人ともされていない(当時は20歳で成人)19歳は、大人になるためにさなぎの中のようなどろどろのリビドーと格闘しなきゃならないってことだろう。
  • 寓話-アレゴリア-

    榎本ナリコ

    古典と二重映し
    2025年6月21日
    伝説や昔話、古典というべき有名な話を題材にしているけれど、単なる翻案ではなく、作者のフィルターを通して取り出されたエッセンスを、現代の若者の話を作るのに利用している感じ。いつもの榎本節とも言うべきもの悲しい味わいとともに、作者の話作りのうまさも楽しめる。さすがです。
  • リボン-RE-BORN-

    榎本ナリコ

    生と死と他者と
    2025年6月20日
    生と死と他者。この3項目のさまざまな組み合わせを試した短編集。どの話も手際よくまとめられているし、難しいテーマを扱っていても適度に人物のセリフによって主張が説明されるのでわかりやすい。あとがきに作者自身による丁寧な作品解説がついているのもいい。この作者にしては希望を感じさせるほの明るいラストが多い。
    いいね
    0件
  • センチメントの行方

    榎本ナリコ

    性と心
    2025年5月18日
    さびしさ、かなしみ、追憶、断絶、喪失感、絶望といった心の動きと性の関わりを描かせたらこの人の右に出る者はいないのでは。透明感のある絵柄も内容にふさわしい。
    いいね
    0件