見るのが辛いのに続きが気になってしまいます。絶望的な事件が起こってしまった過程が順に描かれ冒頭へ収束していく物語です。
なぜ彼は殺さなければならなかったのか?なぜ彼女は殺されなければならなかったのか?
読者は最初メディアで事件を知ったに
過ぎない感想を持ち「この男頭おかしいな…」と冒頭を見て思います。
でも知れば知るほど彼は人を殺すような人間ではありませんでした。何が彼の人生をこんな風にしてしまったのか…。
一言で言えば主人公のせいなんですが。情緒不安定なかなえに引きもせず惹かれてしまった寛自身のせいともいえるし、なんのせいでもないかもしれません。
なら別の道があったのだろうか?
自分をイジメた人間に復讐をし、楽しく生きられるようになった主人公。けれど復讐された人間が今度は不幸のドン底に。
復讐に加担してくれた人間は心を壊し、今度は主人公の幸せに必要な人物を傷つけてしまう。それは主人公の不幸に繋がり…。
主人公の幸せを願ってたはずの人が、主人公を不幸にしてしまうだなんて、悲しすぎると思いました。
人間という生き物の醜さや愚かさがよく描かれてる作品だと思います。
人は結局の所、自分さえよければ良いんです。
相手の気持ちなんて全く理解ができないから、傷付けるのも平気なんです。
主人公を傷付けた一花も、本人は至って純粋で、自分のことを良い子だと思っているでしょう。主人公を傷付ける時も、それは当然だと思っていました。自分を基準に物事を考えているから。
何もかも無自覚なことが何よりも恐ろしいんだなと感じました。イジメている行為そのものが、彼女にとっては「正義」なのです。
しかしそんな彼女に対してかなえがした復讐は犯罪です…。自分がそういうコトに抵抗ない人間になってるとはいえ、彼女もまた一花の気持ちが「分からない」のでしょう。だからかなえにとってもこの復讐は「正義」でしかないわけです。
また、鳴海の気持ちも分からない主人公は無自覚で傷付け彼のことも追い込んでしまいました。
何故鳴海を好きにならなかったのでしょう…。身近に、かなえが1番欲していた「承認欲求を満たしてくれる愛」を持った人がいたのに。
一花が来なくなっても心配しない、自分さえよければいいクズ友達しか周りにいないのも気持ち悪いです。
この先読んでもより辛いだけなのは分かってますが、最後まで見守りたいです。
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