小さな商店を営む店主と、その町に配属された警官。10年前に面倒を見ていた相手からの突然の告白から始まる恋のお話。
年上のオジさんに惹かれるお話は数あれど、大体はイケオジだったり、仕事が出来るカッコいいオジさまに恋をするのがお決まりですが、このお話のすごいところは見事にそれを裏切ってくるところです。誠治は小さな商店でぐうたらしながら、日々テキトーに生きる冴えないおっさん。見た目も体もイケてない上、寒いオヤジギャグばかりを言い、ムードもへったくれもありません。そんな誠治が相手でも、一途に想い続ける晋。ぱっとしないおじさん相手でも、迷いもなく、怯むこともせず、好きだと言える強さが素敵でした。
ストーリーはすぐに告白し、付き合うようになり、えちをするまでの特段変わったことがないお話ですが、面白さとシリアスな部分のバランスが絶妙でした。その中で、誠治の適当さ加減が光った気がします。一見、いいかげんなようで、実はふさわしい選択を簡単にしてみせる懐の深さを感じました。誰よりも優しいテキトーおじさんの誠治にベタ惚れな晋、二人のやりとりに心が温まる作品です。