サスペンスとBLが融合したとても面白い作品でした。事件ものだとBL色が薄まってしまったり、逆にBLとしては良くても事件が物足りなくなったりなんてこともありますが、こちらはどちらも満足できるバランスの良い作品だったと思います。
そして凄惨な事件とそのせいで闇の中にいる清涼が主人公なことからもっと重苦しい話になるかと思いきや、読み終わってみればとても優しい物語だったなと感じました。作者さんの登場人物たちを見る視線が優しいです。酷いことを言ったりやったりしてもそうなってしまった心情がよくわかったし、救いがちゃんと用意されていました。
それには秦野の存在も大きかったと思います。真面目で芯が強く、清涼に心底惚れている秦野の存在が光ってました。2人の関係が優しく甘くてとても良かった。出会いこそ酷かったけど、ノンケだった清涼が秦野に惹かれていくのがとても自然で、心情描写が非常に上手いなぁと思いました。
決着の付け方も文句なく、ラストは甘い幸福感で満たされるすごく満足のいく作品でした。