ネタバレ・感想あり聖なる黒夜【上下 合本版】のレビュー

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島でのオススメ。面白かった!
ネタバレ
2024年7月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 合本版がセールになり、かなりお得でした。上下巻+おまけが上下巻で2話ずつ(ネタバレがあるため、本編の後に読むこととありました)。
一般小説とありますが、一般でいいのかな。BL要素あり。噂の及川を堪能しました。
ストーリーは過去と現在を行き来して、登場人物も事件も多いため、少しこんがらがるところもありましたが、一気に読ませる面白さでした。上巻ラスト悲しすぎる。下巻を読んでいくにつれ、練の復讐と事件の犯人は予想がつく感じでした。韮崎は方言でいうと、えげつない。でも、モテモテ。麻生は一定の人にかなりモテる感じ、が恋愛下手。及川もある意味そうなのかな。イラストデザイナーの彼氏がいるそうで。今でも好きな相手って一緒にいたいのか、いたくないのか、どっちだろう。何にせよ、破滅的な感じの恋愛が続いているようなで、及川の立場を思うと苦しい。最後、麻生が認めて、つぐなうと宣言するとこ、カッコよかったです。練も少しは報われたのではないでしょうか。2人の前向きな未来の続きが見たいです。続編とスピンオフをお願いします。
じっくりミステリー
2024年4月25日
語り手が何度も変わり、誰目線なのか、なんのことを言っているのか全く判らなかったりもするのですが、それでもワクワクして読み進めてしまう。そんな作品です♪濃厚な人間関係、深い闇に閉ざされたミステリー☆

上巻終わりに吐き気がするほどの事実が判明して、読むのをやめたくなりましたが、それでも先が気になってよんでしまう。そんな魅力のあるストーリーでした!

同じ登場人物が出てくる作品があるようなので、それも読んでみたいと思います☆
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重厚な人間ドラマ。
ネタバレ
2023年9月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ ハードボイルド系です。
韮崎というヤクザが殺され、その犯人を捜すのが始まり。
過去の自分がうんだ冤罪事件、そのときにパクった山内のその後と今。
いろんな悲劇が重なり、死ななくてもいい人が死んでいく。
ちょっとした掛け違い、利用するつもりがなかったのに、結果的には利用され、
とにかく人間模様が濃いです。
恋愛もからんできますが、ひとくくりにできないそれぞれの愛。
著者の作品は、炎都シリーズしか読んだことなかったので、まったく違うテイストで面白かったです。
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不条理で不公平な現実
2023年9月26日
伏線が練り込まれていく最初の方はスロースタートでしたが、中盤からぐんぐんと面白くなりました。点と点が見え、この人が絶対に犯人だと思える人物が出てきても薄い色の点でしか無く、どのように線が繋がるのかが全く判らなかったです。登場人物それぞれの人間関係も絡み合い複雑に入り組んだ感情もとても良かったです。人はそんなに単純では無く、色々な面を一度に持てる生き物なのでしょう。全ての始まりは10年前。それから数々の事件が起こり結び付きますが、その一番最初が問題であり、それはこのお話しのメインとなった事件も同じです。練は元々ああいう人だったのか、それともそうなってしまったのか、答えは後者です。大きな闇がまだ謎のまま残ってます。続編で真相が解明されるのでしょうか?
ままならない
ネタバレ
2023年7月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 愛も人生もままならないなと思いました。ミステリー×情愛でとても読みごたえがあります。ページ数があるので上下別で順番に購入して読もうと思っていましたが、合本版で一気に読めてよかったです。
死んでもまだ愛されている韮崎という男を掘り下げる作品があったら是非読みたい。
いろんな運命が変わってしまった夜を紐解いていく麻生の捜査能力も凄いです。捜査なら一つ一つの行動に意味を紐付けて心まで紐解いていけるのに、なんで恋愛は全くダメダメなんだろうと不思議です。韮崎と麻生は存在事態が対象的です。私は両方魅力的だとは思いますが読むたびに2人にイライラします…愛する人を幸せにできそうに無い2人とでもいいますか…ろくでなしです2人とも。そんな2人を深く愛してしまった練の想いが切なくて…。運命って残酷です。
スピン元はまだですが、続きが気になりまず『私立探偵・麻生龍太郎』まで読みました。そしてもうスピン元を読みたくて仕方ありません。花ちゃんシリーズもはさみながらゆっくりじっくり読みたいと思います。
※小冊子のネタバレになるかもしれませんが、交尾したメスに貞操帯をつける蝶がいるなんて驚きました。他の誰かに抱かれる時に必ず韮崎の事思い出すように(心の貞操帯的な意味?)…それとも故郷に帰りたいのに帰れない練がふとした時にでも故郷を思い出せるように故郷の蝶を(おせっかい的な)…故郷を思い出す度に変わってしまった今の自分を思い知り麻生への憎しみも思い出すように(韮崎に縛り付ける鎖のような…練の心に誰が居るか知らないわけないですから)…やっぱり彫らされたんだろうか…まるであの蝶は練を象徴してるみたいだと思いました(生態以外は妄想です)。
おもしろかった、 及川もっと読みたい
ネタバレ
2023年7月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 誰が殺したのか、過去に何があったのか、そして二人はどうなってしまうのか、それが気になってぐんぐん読んでしまった。痛み、憎しみ、絶望とあきらめ、負の感情がたくさんつまっていたけど読むのはつらくなかった。
刑事の麻生とヤクザの愛人練を中心とした、愛憎渦巻くミステリー。現在と過去の複数の事件、からまりあう人間関係、それと同時に描かれる麻生と練の距離感の変化。物語は過去と現在を行ったりきたりしながら展開されて、謎が少しずつ明らかになっていく過程がおもしろかった。

過去よりも現在の練という人物が、がんばってイメージしようとしてもなぜか私の中に明確な像が浮かびあがらない。不思議。強烈なのに曖昧、つかみどころのない人物のように感じた。そこもおもしろさだったように思う。上巻ラストの方は泣きそうになった。

韮崎は歪みまくって恐ろしい、でも愛された。恋に落ちるのに明確な理由なんてないし、恋愛感情が錯覚だというのはよくわかる。たとえ錯覚でもそれでいいというのもわかる気がする。

私が一番興味を持ったのは及川。彼はどんな思いで麻生といたのか、非常に想像しがいがある。彼の大学時代とか、その後麻生が結婚するまで続いた及川と麻生との関係ももっと深く読んでみたかった。及川、切ない、彼には★10。

登場人物の一人ひとりが、奥行きを感じさせる書き方をされていて、抱えている思いや歩んできた人生を、思いめぐらしたくなった。

正しい事とは?善い事とは?裁かれる罪、裁かれない罪。
ある出来事のおかげで助かった人間もいれば、それのせいで死んだ人間もいる。
読んでる間何度も答えの出ない問題を突きつけられた。

本作男同士の濡れ場もしっかり登場する。でも官能をかきたてる、というのとはちょっと違った。これは批判ではなくて、私はどこか冷静に、なるべくしてそうなった行為を見ているというような気持ちで読んだ。

「一生 かけさせてくれるか?」のセリフ、この間合いみたいなものがすごく好き。ラストシーンの空気、情景がすごく好きだ。

ぐさっときた一節:「大人として金を稼いで生きるということは、矛盾とうまくつきあうということ」、なんて嫌な言葉なんだろう、だってほんとその通りだから。

いろいろと胸いっぱいになるシーンが多いが、とにかくも麻生と練のその後が非常に気になる終わり方だった。
及川主役のスピンオフも熱望する。
今更ながら
2021年2月28日
今更ながら読んで面白くて面白くて、
3往復しました。錬に肩入れしますわ。RIKO3部作も読みましたがこちらのほうがいいです。海は灰色も単行本で読みたい。
ハード
2020年6月1日
でミステリーぎみではあるが、やはり恋愛が根底にあるのが面白い
過去や事件の登場人物が多いので、じっくり読める時に。
練の引きつけられる容姿や雰囲気や過去。でも一見マイペースで、派手さのない麻生の方が天然たらしな気がしてならない。
孤独を抱えた2人と2人に纏わる周りの 壮絶な愛憎劇。
ファムファタールならぬ
ネタバレ
2023年10月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ オムファタールですな。まず、犯人はおそらくこの人だろうなと思っていたらズバリそうでした。じわじわ真相に迫っていく展開は好きなんですが、麻生は自身の怠慢と狡さと無関心で無実の男の人生を狂わせてしまったという自覚はありながらも頑なにその失態を認めないという頑固さ。それは刑事の矜持だろうけれど、警察には合わないとか剣道続けたかっただけとか…なんやそれと。さっさとやめちまえよとなりました。
某刑事の「悪党の命は善人の命よりずっと軽いよ…」
まさにこのセリフが代弁してくれている通りだと思われます。
練の姉には多少好感もてましたが、再審請求とか後悔の念に駆られるのは理解できます。ただ、そもそも出所した時になんで迎えに行かなかった…母親も完全に見放してるしこの失望感はもうどうしようもないよ。
最後まで圭吾の件が有耶無耶でモヤモヤが残ります。これも韮崎の描いた絵なんですかねぇ…だとしたら練が不憫すぎますが。愛憎渦巻きすぎ、愛といえば何でも許されるのか?歪な愛情だらけな人たち。絶望とあきらめによって無理やり歪まされてしまった練が痛いです。いや歪んだと言うよりも壊されてしまったというべきなのか…
でもその結末なんだ。「歩道」を読むともうやりきれなくて、しばし放心状態になりました。それでも尚、麻生を求めてしまう練のピュアなひたむきさに胸を打たれます。やるせない。練はこの先満たされることはあるのだろうか…?
この作品、登場人物の魅力等わかりかねます。まさに自萎他萌でありました。
辛辣な感想ですが、あくまでも個人の主観ですので…まさしくえげつない不条理系でした
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作家名: 柴田よしき
出版社: KADOKAWA
雑誌: 角川文庫