最近よく読む作家さんです。異世界・獣人ものが多く、どれも設定や展開が凝っているなと感じます。一冊にまとまっているのに読後感はそれ以上で、満足感が高いものが多い気がします。
今回の設定は、獣人と人間が混在する架空の現代です。主人公の新太郎は、植物にしか興味がなく、本物(貴族という意味)のスパダリを見ても1ミリも靡かないどころか、NOをハッキリ伝えられるし、嫌なら事をされたら一切の我慢も躊躇もなくぶん殴ってでも逃げる…全く保身に走らない真っ直ぐな性格が楽しかったです。それと、そんな新太郎にぞんざいな扱いを受けて呆然とするヒューゴが、滑稽で面白かったです。
一見、タイトルのガーデナーとストーリーと全然関係がないように思えるけど、発芽率と不登校を並べて考える発想が凄いし、子育てとの共通点みたいなものを感じさせられたりして、水面下で密接に絡み合ってるのが分かりました。理人の名前の由来や薔薇・宝石の名前など細かい設定まで考慮してあって、一つ一つがパズルのピースのように、小さいけど重要な役割を持っていたと思います。