ネタバレ・感想あり汝、星のごとくのレビュー

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マンガから入りました。
ネタバレ
2025年4月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公に降りかかる不幸に胸が痛くなる。
そこまで親を大事にしなくても良いのでは??
自分の幸せ考えなよ!
でも、これらの彼女の選択が大人になった彼女を作っているのも事実。
そして彼のクズ男っぷりがすごい!
なぜにこんな男??
どこが良いのかさっぱりわからないのだけど、それだけ彼女には高校のときの彼との関係大切だったのだろう。
つき合いが長くなれば恋愛感情などどこかに行き、イライラやつまらなくなるのは当然なのに、お互いにずっと想いあっているところにグッときた。
そんな出会いはなかなかない。
最後、彼はこの世を去るのだけど、これがハッピーエンドだと思ったのは初めてでした。
最後の時間を2人だけで過ごし、もう彼は誰のものにもならない、自分の隣で旅立ってくれたのだから。
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2025年3月21日
初めて最後まで読んでみた本でした。
中盤までの物語がいま僕がまさに経験してるような内容で新鮮でした。
人生において一途に思い続ける人はいるべきだなと感じました。
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究極の大人の恋愛小説
ネタバレ
2025年1月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さんが大好きで、本屋大賞を受賞してから、ずっと読みたいと思っていました。
惹かれ合う二人の愛が成長と共に切なくて…
そして究極の愛のカタチが美しい…
この感動をぜひ共有してほしいです。
とても美しい作品です。
2025年1月5日
凪良ゆう先生の作品は何作か拝読しておりますが、本作を読んで「なんて美しいんだろう」と心を奪われました。一生心に留め続ける大切な作品です。先生へ素晴らしい作品をありがとうございますと感謝の気持ちをお伝えしたいです。
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告白します。
ネタバレ
2024年12月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 告白します。私、ゆう先生の作品は電子で手にはいるものは全部持ってて(出版社からの版権引き上げのためか販売停止になったBLも含め)、ファンで応援してるのですが、あれだけ本屋大賞受賞って個人的にも騒いでたのに、先生の一般小説は積読のまま読んだことないんです。ぜったいに寂しくなってしまうから。
なので、これが一般小説初読みなんです。もうそろそろ一般小説の荒海へ船出してしまって寂しがる自分の感情を諦めてもいいんじゃないかなと。ゆう先生大好きだし。コミカライズで1巻も発売されたので、まずは試しにそれを恐々読み始めて、これはオリジナルの小説の文章で体験した方が良いとすぐに小説に切り替えました。

ゆう先生の幼少時代が恵まれなく施設育ちとインタビューで拝見してから、親との関係や生活に苦しむ登場人物が多い理由がよくわかります。このお話に出てくる漫画原作者になった櫂にも言わせてますが、その経験が物語を書かせているのだと、書くことで昔の自分を救っているのだと。また男に頼らず金銭的に自立する女性の姿をご自身の経験からも書きたいのだなと思います。特に女性の生きづらさについては、女性視点からの一般小説でないと書けませんよね。
初の先生の一般小説は、なぜゆう先生がこの作品を書こうとしたのか、何が書きたかったのか、を考えながらの読書でした。
ただ、BL読みとしては、もうほんとどうしようもないんですけど男女には心浮立つ萌えがないんですよね。。生々しくて。。

BL読みとして、またゆう先生ファンとしてではなく、別の視点で一般恋愛小説としてみれば、それはもう素晴らしい構成と文章で、社会問題もふんだんに盛り込まれて始まりと終わりが同じシーンなのに全く印象が違い、軽やかな青春の描写もあれば読後にはずっしりと重く、一冊でいくつもの感情が湧き起こる、2回目の本屋大賞受賞に相応しい作品でしたよ。

まだBL小説家ですから、って先生はインタビューで言ってくださってますが、正直難しいんじゃないかな。。。すっごく寂しいけど。BL文法に縛られてしまう話はもう書けないかも(美しい彼の新刊もいつものとは構成違いましたよね)。私としてはイギリスに渡って花屋を手伝ってる彼のその後のお話をBL小説で読みたいのですが!一冊書けそうですよね。(そうか、かの地在住の私が書けばいいのか。。。(←大言壮語))
選ぶ覚悟、失う覚悟
2024年11月18日
冒頭からいきなりのやるせなさに長いこと読めずにいた作品です。どう足掻いたところでこれが結果なんだと重たい気持ちで読み始めたのですが、プロローグで読んだ結末と読み終えたあとの結末とでは感じるものがあまりにも違いました。暁海は世間的には普通でない許されない選択をしたけれど『ここは私が選んだ場所』ならそれでいいのだと思えるラストでした。本作の登場人物たちは皆揺るぎない強さを持っているけれど、瞳子さんにしても北原先生にしても世間的には許されない部類の人たちで、それでもこんなに凛と生きられるのは選ぶ覚悟と失う覚悟を持っているからなのだと思いました。羨ましい強さだけど私にはできそうにもありません。正解を選んで生きてきた私は瞳子さんや北原先生のような人を色眼鏡で見てきたし、これからもそれは変わらないと思う。作中の「誰に罵られようが誰に恨まれようが」という考えにも共感はできません。でも「正しさだけで全てが決められたらどれほど楽だろう」という一文を読んでハッと気づかされました。私は正解を選んできたわけじゃなくただ楽な方を選んできただけなのだなと。正解な生き方でもそうじゃない生き方でも自分の信じたように生き、最後に『自分の選んだ場所』に辿り着ければそれでいいのだと思えました。
この本が私を肯定してくれた。
2024年10月28日
何回も繰り返して読んでいます。
小説を読んでマーカーを引いたのは初めてです。

きっと大勢いるであろう、世間からは間違ったと思われる生き方を選んだ私ですが、自分の人生の責任をとるのは自分しかいないのだと、はっきり感じました。

やっぱり私は
「明日死んでも後悔しない生き方をしたい」と深く思わずにはいられません。
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自分の幸せを・・・
2024年10月14日
島の人たちが田舎あるあるで辛い。
親の事は放っておいて自分の人生を好きなように生きればいいのに。
家族って何だろう。
親が子どもの人生に責任を持つのは当然だけど、子どもはそこまで縛られなくてもいいんじゃないかと思う。
みんな優しすぎるよ。
読み終わったら最初のページに戻ってしまう。
素敵な仕掛け。
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汝、星のごとく… 読みたかった!
ネタバレ
2024年4月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 凪良先生2冊目の本屋大賞受賞作!きっと映画になるでしょうね。
ヤングケアラーと呼ばれる子供達を自分はもう知っているつもりでいたけれど、この二人が当てはまるということに全く気が付かず、なんていうか家族であるということは呪いみたいなもんだなぁとやるせない。
どんな形でも一緒にいたい人と一緒にいられて、色々な権利を与えてほしい。凪良先生が願っている事であろうマイノリティの方たちの悲痛な願いもつまっていました。頭の硬い政治家のおっさん達も裏金で何千万も本代に使うのなら、こういう本を読んでほしい。

番外編も是非読みたい!!
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口コミ通りの傑作
2024年3月27日
素晴らしいです。とても。涙がとまらないです。
オススメ中のオススメ。続編もこれから読みます。
読んだ後にいい時間だったと思える良い話でした。
圧倒的な言葉のリアル
2024年3月7日
読み終わってから1ヶ月経つが、まだ余韻が抜けきらない。
作者の、気持ちを紡ぐ言葉のリアルさ。
実際の経験から出た言葉と感じるほどの現実感だった。
救いがないような状況でも、自分を生きることを貫く登場人物達に自分が救われた気がした。
ずっと自分の中に留めたい作品。
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時間を忘れて読み続けました
ネタバレ
2023年12月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと気になっていた作品でようやく読むことが出来ました。暁海と櫂の両親の部分がとてもリアルだったし、そこから2人が惹かれあって付き合っていくところも素敵でした。櫂が東京に出て浮気をしたときはあんなに暁海と仲良かったのに相性良かったのにととても息が詰まり、別れる時の暁海の心情がダイレクトに伝わってきてしんどかったし切なくなりました。この2人はずっと壮絶な生き方をしているなと思いましたが最後、櫂がずっと見たかった今治の花火を見て眠ってからやっと2人に安穏な生活が来たのかなと思い悲しいけど暖かい気持ちになりました。言葉にするのがとても難しいですが、全てが心に刺さり、本当に読んでよかったと思える作品でした。
苦しくて苦しくて、しんどい
ネタバレ
2023年11月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ いつもレビューを参考に購入を決めるのですが、今回は手を出すべきではない、とわかっていながら読んでしまいました。正直、やっちまった、って感じです。全ての登場人物に感情移入し過ぎて善悪の判断が出来ず、しかし善悪だけで判断するような作品ではなく、それ故に何もかもの感情が追い付かず、人の業の泥沼から抜け出せないでいます。読むには相当の覚悟と心の強さがなければ、自分自身、蝕まれます。お気をつけ下さいませ
じわじわと涙が感情とともに溢れる部分あり
ネタバレ
2023年9月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ プロローグとエピローグで同じシーンを描いているが、全く別の感情で読んでしまう。
登場人物、いい意味でも悪い意味でも全員の気持ちにどこかしら共感する部分があった。
毒親、不倫、LGBTQ、自◯、SNS炎上、ヤングケアラー、生活保護、互助会など社会問題となるような部分を一つ一つ考えてしまいたくなる。
そんなどろどろと重苦しい話の中心の櫂と暁海。
二人が狭い狭い離島という社会でご近所の噂、目にさらされながら苦しみながら成長していく純愛。
暁海からの視点と櫂の視点。
どちらにも共感できるのがつらい。
一つ一つ問題を回収し考えていくと、登場人物一人一人の最後が一つ一つよかったと言える気がする。
意味のわからない人間関係とどろどろ社会、切ない恋心をこんな終わり方もアリだよね。と、まとめあげ完結した良作なんだと。
幾度かじんわりと涙が感情とともに溢れた。
読み終わって、放心。脱力。
2023年8月15日
台風でどこにも出られない日に
一気に読んでしまった。
いい1日だった。
読む前よりも、いつもの風景が
何気ない1日が、クリアに見える
気がしました。
いい本に出会えました。
推薦してくれた書店員さん方に
感謝です。
おすすめ作品
ネタバレ
2023年5月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他の方のレビューでもありましたが、たまたまこの作品の前に読んだのが〝Nのために〟でした。どちらが先に読んでもきっと思い出す。島という独特な閉鎖感。父親の不倫で母親の精神が不安定で家計が苦しく、自分が自己犠牲から逃れられない。
読んでいてちょっと苦しい作品ではありますが、でも面白い。引き込まれた作品でした。最後の作品だった事がかわった時にゾワッとしたと同時に、作品の中ではありますが、母親にこの印税が入るのかと思うと…
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読み終わって…
ネタバレ
2023年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私は時差で、涙が止まりません。読んで一晩経っても内容を思い出すと涙が出て胸が苦しくなります。読む人によって、何処が好きか誰が好きか…どう思うか色々あって読んだ人と話がしたくなる…そんな小説だと思いました。

不思議と…私は、湊かなえ先生の「Nのために」のドラマの風景を時々思い出して読んでいました。
さすが、文章が秀逸
ネタバレ
2023年5月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作家買です。期待通りとても良かったです。
凪良ゆう先生の作品の登場人物は魅力的な人が多い。
人の心の機微やどうしようも無い思いを人の心を打つ文章にすることがとても上手い。
自分のどうしようも無い状況と、唯一分かり合える存在だった櫂の自分をあなどる言動に我慢出来ず感情が溢れるシーンの感情描写は秀逸です。
涙が止まりませんでした。
強い主人公に勇気をもらいました
情感たっぷり
2023年4月27日
素晴らしいの一言です。
文章に吸い込まれます。
表現の美しさが際立っていると思います。
文章が映像で入ってくる感じです。
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頭が痺れるような読書体験でした
ネタバレ
2023年4月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 凪良作品としてはこれまで美しい彼や流浪の月を読んできたが、本屋大賞受賞を機に読んだ本書は、それらとはまた違う、恋愛を主軸に置きながら、より広い社会問題に触れつつ読み手の心を震わせ、最後、冒頭からは予想もつかない光景を見せてくれる作品であった。
あらすじには、瀬戸内の島で出会った高校生のあきみとかいの名前があり、この2人の恋愛物語が始まるのかと思ってプロローグを読むと、結婚したあきみと毎週恋人に会いに行く夫の描写で始まるという不穏さが印象的。それから場面が切り替わって描かれる高校生の2人も、それぞれ欠落を抱えた母親に人生を振り回され、分かり合える唯一の存在として惹かれながらも、卒業後、櫂は漫画原作者として東京で仕事をし、暁海は島に残る。その後の2人の境遇の違いと、生まれるすれ違いが切ないだけでなく、都市部で育った女性である自分にとっては、女性である暁海が、母親や地元に絡め取られて、自分のために生きることを諦めてしまいそうになる場面では女性であるハンデを乗り越えようとしてきた自分の中の女性性と、仕事上培った男性性との分断を生み、胸苦しい場面の連続だった。そして最初、暁海視点で紡がれた後に紡がれる、櫂視点の物語が、櫂にとって暁海がいかなる存在で、抱いている想いと相反して生まれるすれ違いの結果の別離が、しみじみと切なくて、嗚咽が抑えられなかった。
この切なさの後、暁海は女性だから自分の人生を若くして諦めなくてはならないのか…という諦念が漂う描写の中で、暁海、櫂の高校の教師である北原先生…実に飄々としたフラットな人生観を持つ人物で、発する言葉にその都度ハッとさせられる、作者の分身とも思える魅力的な人物…や、暁海の父の恋人瞳子といった人物が関わることで、停滞していた暁海の周りの空気が動き出し、遂には疾走感にすら変化して生まれるカタルシスが素晴らしい。その後の櫂の描写を経て、エピローグに辿り着くと、プロローグと同じシーンが、全く違う意味を持つものであることを思い知らされる。唸るしかない構成力。強烈な、初めて覚える読書体験だ。傍目にどう見えるかは重要ではない。人生は自分で切り拓け。ただし大切な事は他人に告げなくて良い。そんな作者のメッセージを感じ、後を引く余韻が心地良い。本書はオーディオブックで聞いたが、良い作品はどう味わっても良いのだと実感。通勤時間などの有効活用にお勧め。
流浪の月
2023年4月2日
も痺れましたが
こちらも社会風刺もありつつ
人間として羨ましい北原先生との出会いや
なぜ子に縋る母がいるのか
櫂の子供の頃からの孤独に絶句する
仕方なしと やんわり受け止め続ける櫂の
元来の優しさ
成功と比例して離れゆく恋人

一気に読みました
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最期切ない
ネタバレ
2023年4月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大まかにいえば 偏見 差別 ぺんの暴力 SNS、TV報道の暴力一番切なくて悲しかったのは尚人君
暫く悲しみから抜け出せなかった 凪先生の表現したいことがこの作品にも流浪の月にも描かれてる
ドロドロでグチャクチャなのに美しい。
2022年11月3日
美しい彼のファンで凪良ゆう先生の新作なので、間違いないと思い購入。
読み始めると止まらないことは分かっていましたが、案の定現在午前3時半です。
凪良ゆう先生の小説は今作に限らず一筋縄ではいかない、私ではとても文章にはできなような人間の感情を素晴らしく、読みやすい言葉にしてくれています。男女が両思いなら万事解決じゃないの?!という単純なものではなく、沢山の経験した人にしか思いもしないであろう苦労や苦しみを読んでいる人間にジワジワと実感させてくれます。
また、ものすごく長い年月をかけて丁寧に描かれています。苦しいけれど美しい話でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。
本屋大賞2023おめでとうございます☆
2022年8月6日
(あまりの嬉しさにレビュー修正しちゃいました。文庫版が出たらここも削除されてしまいますが。)大好きな凪良先生の作品、週末にゆっくりじっくり読むつもりでした。が、気付けば7時間の徹夜読破。ストーリーはもちろん言えませんが、語彙消失の大作です。冒頭から不穏な空気しかなく、どうにもならない現実に振り回される主人公2人に感情移入し「どうして!どうして!」「なんで!?なんで!?」の連続。毒親を持っていた私には刺さる部分が多すぎて、嗚咽を漏らし何度も中断しながら読みました。先生の作品はどうしてこうも心揺さぶる文章なのか。切なくて哀しくて優しくて厳しくて。「流浪の月」とは全然違うけど、通じるものが確かにあります。読んで良かった。少し寝たら再読開始します。
素敵な物語
2022年8月4日
[開かれたとびら]で前編を読んでから、待ちわびていました。辛くて、悲しくて、切ない。胸が苦しくなるようなラスト。でも、なぜか、穏やかな気持ちで読み終えました。登場人物それぞれの気持ちが痛いほど伝わって来ました。先生の作品のタイトルもいつも良いなてっ♦大切な、作品に出合えました。
惹き込まれる、けれど苦しすぎる
ネタバレ
2024年10月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 殺戮ファンタジーよりずっとリアルで残酷だ。肉体が傷つくことよりも、心を抉る誰かの言葉、悪意のない感情による殴り合い、目に見えないトラウマのほうが私は怖い。本書は乗り越えきれない未消化のそれらをまざまざと思い出させてくる。何人か書かれていますが『Nのために』を強く思い出させる作品です。
文章は読みやすく惹き込まれ、面白い。SNSで「よかった」という投稿文と表紙・タイトルの美しさだけで、私は初めて電子書籍で内容を知らない小説を買った。結論からいえば買ってよかった。二日間で読了した。しかし美しく燃える愛で満たされた青春の恋物語は一瞬で、その後の二人を引き裂く展開の数々はあまりにも鬱的だ。それが現代日本のリアルだから本当に恐ろしく心がかき乱された。
彼が過酷な展開に翻弄されるそのたびに「ああ、つらい!まじかよ、もうやめてくれ。どうか幸せになってくれ。ハッピーエンドなんだろうな?」と読者の私は心が絞られ、彼の死の描写はあまりにつらくて中断し、しばらく放心状態だった。飼っている愛鳥がいなかったら私は本当に今ごろ不安定に乱れていたかもしれない。彼の生き様や死んだ年齢は、私にとって他人事ではなく鬼気迫るものがあるからだ。当事者の二人は幸せな結末だったのかもしれないが、読み手である私個人には苦しみと息苦しさしか残らなかった。
(なお、二人が再会したシーンの感情の希薄さだけは移入できなかった。あれほど一方的な別れ方をしていたら、もっとお互いに湧き上がるあれこれがあるのでは…。冷静で淡々としすぎていて、そのシーンだけは少し拍子抜けしてしまい、没入感がいったん抜けてしまった。)
それでも、美しくやさしい文章で、余韻があり、読み応えがある。また何度も読み返してしまうかもしれない。続編も読む。そしてこの著者の他の作品もぜひ読みたいと思う。
深い
ネタバレ
2024年8月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 年齢層によって受け取り方が大きく異なる話だと思う。
最終章は先が読めて、彼が汝…というタイトルで本を書いているのだろうというのもわかったのは良いけれど、どうしてそのタイトルにしたのかの説明があれば個人的には五つ星だった。
それとも続編で語られてるのかな?
読み手を引きずり込む作家の力量!
ネタバレ
2024年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み始めたら最後、引きずり込まれます。二人の苦しさに飲み込まれるようで息苦しくなるほど。こんな風に生きることしかできないのだろうかと考えながら読み進め、それは優しさなのか弱さなのか…私にはわかりませんでした。物語は穏やかに締めくくられましたがあまりにもつらく悲しかった。この様な終焉を迎えたとしても、それでも自身が選んだ道に悔いはなかったのだろうか?「切り捨てる」という選択肢ならば二人は幸せになれたのだろうか?まだ三十代の若い二人が愛情を、人生を、共に再生し、星の様に輝く幸せを手にしていく姿を見たかった。
どこかの誰か無さそうだけどありそう
2023年12月8日
正直面白いかと問われれば面白くはありません。どちらかと言えば文字どうり胃が痛くなる作品。人は人にどう足掻いても頼り頼られて存在しているんだということをまざまざと突き付けられる感覚と、現実の重みを理解させられる、途中で読むのを辞めたいのに辞めれない、面白いからではなくこの登場人物たちの行く末を見届けたいと思わされる作品でした。
ドラマチックだが、漫画的なあざとさも
ネタバレ
2023年9月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み始めて数日間、本の中の世界をリアルに体験しました。最初は主人公たちの様子を遠目から眺めていたのが、いつの間にか暁海と櫂に同化している。最後までたどり着いた時には軽い疲労感さえ覚えたほどでした。素直に作品を一読すると感動しますし、こういうわかりやすくドラマチックなストーリーが最近の読者に好まれるのでしょう。私も凪良作品のファンです。ただ、振り返った時に気になった点がいくつかありました。まず、ゲイの漫画家のパートナーが未成年者イン行で親に訴えられ、SNSで誹謗中傷に遭い…いうくだりがあるのですが、これは現実だとそこまで悲劇的にならないことのほうが多いんですよね。不倫や不正をした芸能人がやたらにネットで叩かれるということはありますが、漫画家の場合は同じことをしてもほぼ叩かれず、その後も活躍しています。現に未成年者イン行をした漫画家が見事に復活してヒット作を出し、アニメ化までしている例があるほどです。ネット民の大半は「そんなことよりも作品の続きはよ!」ですから、それが大人気作品であったらなおさら非難よりもファンからの声援のほうが大きいと思うのです。出版社は訴訟を検討していたようですが、主人公や編集者が個人的に動画やブログで反論したほうが味方は増えたと思うし、週刊誌に真実を訴える記事を載せさせる方法だってあります。やられっぱなしで何も自己発信しないって…ちょっと疑問です。それと「創作によって救われる」というテーマがあったと思うので、こういうピンチの時にこそ「創作することで逆境をはねのける」という展開にしても良かったのではないでしょうか。櫂も暁海も毒親に育てられたにしては良い子すぎるし、悲劇的かと思うとうまくいきすぎなところもあるし、すべてが作者の都合の良い舞台装置のように見えてしまうんですよね。二人とも櫂の母親からの金の無心を一切断らないのですが、それは「金銭的自立」と言えるでしょうか?北原先生も瞳子さんも味のあるキャラですが、作者が訴えたいことを全部台詞にして言わせているような説教臭さを感じます。最後に、暁美と比べて櫂の人生に救いがないのが気になりますね。恋人の死で終わると泣けますが、あのラストはすごく感動を「狙っている」あざとさを感じました。凪良先生はBLだとリアリティがあるように感じるのに、一般文芸になると一気にリアリティがなくなってしまうのが本当に不思議です。
何日も頭から離れない。
2023年3月18日
第168回直木賞候補作に選出され受賞は逃したそうですが素晴らしい作品でした。
凪良先生の文章力と、緻密で繊細な心理描写、予想を裏切る展開が続いてメンタルがばがばにされてしまいました。
読了後も何日も余韻が続いてます。
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かけがえのない相手。
ネタバレ
2023年2月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今、問題になってるヤングケアラーといってもいい話。介護するのとは意味合いは違いますが、ようは、子供が大人の面倒をみている状況。
父親が浮気して家をでて、母親がおかしくなった暁海と、男にすべてをささげ振られては息子にすがる母親をもつ櫂。
二人は施米島で、お互いをささえながら恋人としていきていて、でも目指す夢や親のことで遠距離しながら、歯車がずれていき、わかれるんだけど、何年たっても、どこかで、お互い過ごした時間を思い出す。
もー、親も何もかも、結構ドロドロ。
離れてる間にもいろいろありすぎて、人生濃いです。
2人の学校の教師の北原先生がまた、達観してるというか淡々としていて、いい人です。
こういう家族としての関係がステキ。
あっという間によめて、本当に面白かったです。
共依存を美化してると感じます。
ネタバレ
2023年8月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 優しさって何だろう。
「優しいね。でもその優しさは誰のためにもならない」っていう感じのセリフとか、この優しさは弱さだ、みたいな文章がたびたび出てくるけど。

この作品は他者からのレッテル貼りや陰口的なものからの自立?を主張してると思うけど、いわゆる毒親で問題になるのは、他者からというより、毒親からの自分への批判や蔑みから、自立できるかどうかでは?と思います。

自己肯定感って言葉が一度出てきたけど、ん?そういうのは自己肯定感とは言わないよ?って感じた。
自己肯定感って、弱い自分、ダメな自分、上手くやれない自分、汚くずるく、意地悪な自分、何一つ価値あるものを持たない自分。そういうのぜーんぶひっくるめて、「大丈夫。私は私でいいんだ」って、心の底から思えることで、誰かに自分をひけらかしたりしたくなるのは、自己肯定感が低いからでしょ。逆だと思う。

お金を出すことが優しさか?って聞かれたら、それはNOだと、私はハッキリ言えます。
お金せびられるたびにお金出してたら、相手はいつまでも自立できないし、そういうのを共依存って言います。私の義母もそういう人だから、状況は痛いくらい分かるし、私の実母はまた違う毒親だから、

親に苦しめられる気持ちは理解できる。

何だろうなぁ。この作品に出てくる優しさは、優しさなのかなぁ。一見優しいように見えるけど、違うと思う。相手への優しさのようでいて、自分への優しさだと思う。

親になじられても、親から見て例え自分が悪者になっても、本当の意味で相手のためになることをするのが優しさでしょ?

お金出すことで親の愛を得られるかもって、思いたい気持ちは理解できるけど、どこかで腹にグッと力入れて、「それは愛じゃない。自分は愛を渇望したけれど、この人からの愛は得られない。私は私を精一杯大切にしよう」

って、自分で自分を大切にできて初めて、他者を大切にできる。お金出すことは優しさじゃないし、相手を大切にするってこととも違う。

共依存を美化しているようにも見える作品でした。

文章は上手いです。もちろん、ストーリーは面白いです。
お腹いっぱい
ネタバレ
2025年5月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 田舎の監視社会、報道が煽動するSNSによる正義の暴走、マイノリティの生き辛さ、ヤングケアラー、「新しい」家族の在り方 等 読み進めていくうちに ああまたこのパターン…となりそのまま読了。
このような作品を読むたび、あちらが正しい?いやいやこっちが正しい!ではいけないのではないですか?といつも思います。
正しいってなんですか、普通ってなんですかと問いたいのだろうに結局悪と善の対比が物語の柱になってしまっていて、逆正義の押し付けとでもいうのか分かりませんがそんな気分になりました。
素人が偉そうに申し訳ありません。
あともう一つ。
私は僻地の生まれですが本当のド田舎はヒソヒソではなく良くも悪くも無関心。知りたいことはズカズカ来ますが。
町を出て、都会はヒソヒソ感じ悪いなあって思いましたから読んでいてずっと違和感がありました。
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作家名: 凪良ゆう
出版社: 講談社