ネタバレ・感想あり或るシカリオの愛のレビュー

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架空の国とは思えない
ネタバレ
2024年10月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 底抜けに明るく陽気な国で、脛に傷を持つ二人が出逢ってしまった。世界の醜さや哀しみも痛みも苦しみも溢れるほどの辛さをも知ってしまい、幸せと呼べる物を持たない者同士が等価交換するかのごとく少しずつ、少しずつ『自分』を差し出す様はヒリヒリするほどの痛みが伝わってくる。生きる意味を見失っていた者がお互いの存在を唯一無二と認めるようになれて、本当に良かった。
とてもよかったです
ネタバレ
2024年7月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 古道具屋の店主 ジャレス・マルティーニ 30代前半×殺し屋 ルカ 21か22歳くらい
メキシコに似た架空の街ミノシエロが舞台。街を離れる密売屋に不用品と一緒に置いていかれたルカをジャレスは嫌々ながら家に置いて店の仕事を手伝わせます。このお話、めっちゃよかったです。文章がすごくいいんです。クールで乾いた感じ、情景が浮かんできます。ジャレスはスペイン系の白人で青い瞳のすごく背の高いイケメン、ルカは褐色の肌に黒髪 片目だけが鳶色に見える黒い瞳、かわいい系の少年のような男。ジャレスはルカに自立して家を出ていくように言うのですが、ルカは殺し以外に得意なことがなくて、体を売るしかないか!ということになってジャレスが仕込みの手伝いをするという、愛のないところからいろいろありまして。アクションあり抗争めいたのあり、異国情緒を味わえておもしろかったです。後半のお話は前半と違ってフンワリしているかのようでまた違う雰囲気を楽しめました。ある出来事から心が枯れてしまったジャレスと誰からも大事にされてこなかったルカ、彼らのたどり着くところを読んでみてください。シカリオ=スペイン語で暗殺者
2023年11月 総303p 挿絵あり
圧倒的な世界観の構築
2024年6月30日
本当にうまい作家さんです。ノリと勢いで書く作家さんも多くいる中(それはそれでおもしろいのですが)、文章力もあり、物語の世界観の見せ方も心得ているプロの作家さんだと感じます。愛や人との繋がりについての深いテーマがあります。そんな結構シリアスなテーマを背景にしているのに、BL要素をエロく入れてくるって、もうやってくれますよね。私にとっては当たり外れのある作家さんですが、この作家さん特有の乾いた文章が今作の世界観と合っていて、いつまでも読んでいたい気持ちになりました。心も身体も痛いシーンがあり、特に身体が痛いシーンはひーっとなり読み飛ばしましたが・・。ジャレスが酸いも甘いも噛み分けた色気撒き散らしている大人の男で、ルカじゃなくてもやられますよ、あんなん。そしてルカもどんどんワンコ化していくのがかわいすぎました。自分にしか懐かないワンコっていい。でもジャレスなんで、ちゃんとルカを誰にでもかわいがられる子に仕上げちゃうのですが・・。その大人の男が思い余って見せる独占欲がたまりません。とにかく多方面に楽しめる小説です。
全303頁、すっごく良かったです◎
ネタバレ
2024年6月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 元殺し屋の話なので、バイオレンスなのか?!と思いながら読みましたが、そういうシーンもちょっとはありますが、すっごく好きな話でした。受けの子がちゃんと男の子なのに可愛い◎攻めのことが好きって気持ちが伝わってきてキュンキュンしました。攻めも案外嫉妬深くて、受けを守ろうと必死なところにズッキューンと惚れました。受けが人間らしさを学んでいくのがイイ感じ。読んでてタコスが食べたくなりました。
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健気受け
2024年4月26日
古道具屋ジャレスと殺し屋ルカ。人間性を一切持てこなかったルカが徐々に感情を持ち始めるのがよかった。ルカがどんどんジャレスに特別な感情を抱いていくのが最高。
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読後感素晴らしかった
ネタバレ
2024年4月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 舞台は架空の中南米あたりの国です。
かつてアンダーグラウンドで生きてきた古道具屋のジャレスの元にガラクタと共に売られてきたルカの出会いから物語が始まります。
暗殺の道具として生きてきたルカがジャレスの元で読み書きを学び、知識を得て愛を知り人間らしさを取り戻して行きます。幸せな読後感。
タコス食べたい〜カクテル飲みたい〜
ネタバレ
2024年2月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ BL小説、砂原先生の準新刊です。力強い挿絵が稲荷家先生で、太陽に溢れた舞台と強く逞しくしなやかなふたりの姿を鮮やか描いてます。挿絵を依頼して下さった方ありがとうございます。。
題名なんぞやって思うひとは途中でわかるので検索しない方がいいかも。メキシコっぽい国(砂原先生曰く架空の国の80年代設定だそう)の雑多な街で古道具屋を営むやる気ない男に、十波一絡げで売られた若い男、、悲惨な境遇で生まれ育ち、できることは殺しだけ、っていう子が、無気力だった男の優しさに触れ心ひらいて救われてくお話。読み終わったらタコス食べたくなるの間違いない〜。作者さん、後書きから実際に取材でメキシコ行かれたことないはずなのに、カラッと空は晴れていてもピリピリした治安悪い内陸、明るくダラダラした毎日が続いてく海辺の観光地、の雰囲気もその場にいるように書かれてます。後半、あの人との顛末が一波乱あるのかと思ってページ数確認しながら読んでたら、案外あっさりでしたね。伏線回収されててなるほどとも思ったけど。
物語の世界が素晴らしい!とにかく読んで!
ネタバレ
2023年12月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 文句なしに読み応えある作品です!この世界観に引き込まれて魅了されてしまいました。不穏な雰囲気がありまくりですが読み終えてみたら、主要人物、誰一人悪い人がいなくてみんな不器用で優しい人でした。殺しはありません。愛の物語です。
そして南米の陽気な雰囲気と世界観、出てくる単語に思わず色々と調べてしまいました。ジャレスが何気に世話焼きで、殺し以外できないルカに文字、料理、店番色々と教えて人間化していきます。ジャレスからもらったコダママイマイを大切にしているルカ、かわいいです!
題名にも使われているシカリオとはスペイン語で暗殺者という意味でなるほどってかんじでした。ルカだけでは無く攻めのジャレスも元シカリオだったなんて! ルカはジャレスと生活するうちに人間としての感情、愛情を知る、そしてジャレスも世捨て人で傷ついた心をルカによって再生する物語でした。とにかく素敵なお話です。
これは購入して良かったです。オススメです!
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一気に引き込まれました
2023年12月14日
人としての生活や営みを教えられず良いように使われて捨てられたルカが、ジャレスと出会ったことで学んでいく姿に心打たれました。
日常が少しずつ色付いていき、心が動きだす描写が丁寧です。とにかく受けのルカが可愛くて萌え転がりながら読了でした。
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ワンコが人になる
ネタバレ
2023年12月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ くだらないガラクタと一緒に売られたルカ。何も、世間のことを知らない世界で生きてきた。ジャレスに教えてもらって。自分に新しいものが吸収されていく。少しずつ、人らしくなっていって。ジャレスとの間に芽生えたものの名前すらわからなかったのに…。互いに答えを出さない様にしていたのかも。フェルのところへ行くことになったことによって、はっきりと気持ちを理解したルカ。ジャレスのそばにいたくて。ついていく。言葉にすることが苦手なルカが頑張って口にするのがかわいらしいし、ジャレスによって成長してるのがわかります。ジャレスだって、ルカが自分によって変わっていくのが可愛くて仕方ないに違いない!なんか、続き読みたいなぁ。気長に待ってます。
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イメージと違い重厚でシリアスな内容でした
ネタバレ
2025年3月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『猫屋敷先生と縁側の編集者』シリーズが面白くて、こちらも読んでみました。内容は、明らかに実在する南米の国を舞台にしながらも架空の国だそうで、私にはその国は明るいイメージなのですが、ストーリーは重くて暗めでギャップがありました。ていうか…タイトルにキーワードが入ってるんですよね。そもそも明るくなりようがないのですが、英語でなかった為に(言い訳です)単語の意味を知らなくて、良いイメージを持って読み始めてしまった訳です。ジャンル的に苦手な人もいるかもしれないので、タイトルの意味を調べてから読み始めるのが良いかなと思います。
ストーリーは、外国なのに映画でも観ているように情景が思い浮かぶので、さすが先生と思いました。稲荷家先生のイラスト効果も絶大でした。心理描写については…深いのは勿論、含みも多くあった気がします。行間を読ませるような、ハッキリと言葉にしないのに何となく察せられるような、絶妙な言葉選びでした。明らかに『猫屋敷先生と〜』のカジュアルさとは違うと感じましたので。
「幸運と幸福は、必ずしも同じではない」自分はツイていると明確に理解できても、幸福は終わったとも思っている。…というルカの言葉。その、似て非なる2つのもの…人によっては同質のものである場合もあるし、どちらか一方でも充分ではないかと思う人がいる事を考えると、どちらも望んでしまうルカの複雑な気持ちが分かる気がしました。
その道では一流ではあるのに何処か欠けた状態の二人が出会い、それぞれに再生・生き直しをする重厚なストーリーでした。
受けが心を知り成長する物語
ネタバレ
2023年12月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 面白かった。中南米が舞台。古道具屋の攻めと、殺し屋として育てられた受け。お払い箱になった受けが攻めの店に半ば押し付けるように売られる。さっさと出て行って欲しい攻めだけど、お人好しの性から結局面倒を見始めちゃう。口数も少なく「殺し」以外できることがないと言う受けがどんどん色んなことを学んでいく様子が良い。「頭は悪いほうがいい」「喋る者、太る者、利口な者も殺される」など受けが今まで生き残るために学んできたことが辛い。攻めは受けに対して辛辣なことを言うけれど、その割に受けの様子を良く見ていて食べたそうにしていたものを用意したり読み書き算数を教えてくれたりする。ぶっきらぼうに接しようが隠しきれない優しさに受けが惹かれていく様子も良かった。自分の気持ちの正体も分からず、ただ気がつくと攻めを見ている癖がついたり攻めへの好意が言動に出ているのが可愛い。不慣れに店のお手伝いをしている姿も可愛い。二人で過ごした古道具屋や貰ったお椀、カタツムリの殻を凄く大切にしているのも健気。
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