これは決して小児性愛を肯定的に描いているものではないです。決して社会的にも身体的にも対等でない子どもが、大人からのグルーミングによって性的にも心理的にも曲げられていってしまうプロセスや状態が生々しく描かれています。「大人と子どもが愛し合ってはいけないのか」そこに愛があるならば、その愛の証明とはなんなのか。考えさせられます。
ゆいとおにいちゃんが、愛の証明、愛の確認、それらの為にお互いに傷つけて、畏怖の対象に暴露されながら、一生懸命に縋りついていこうとする姿には胸が締めつけられます。
そしてこの作品の中の様々な怪物たち(おにいちゃんもゆいもまいこも)を生み出したのは、過去のトラウマだけが要因ではないところも大事な視点。名のないキャラクター達の何気ないセリフや行動にも考察のやり甲斐がありますよ。
暗く、辛く、哀しい愛がぶつかり合う作品ですが、ぜひ、何度も何度も読み返して考えながら、それぞれの救いの道をどうにか見つけたくなる作品です。
個人的に、2度目の読み返しには、the holeを聴きながら読んでほしい。沼に沈みこむ様に、歌詞が作品とハマってます。