中学3年の夏の突然の別れから、10年後に再び東京で出会った親友で初恋の2人の悲しくて切ない愛のお話。
お話は10年後に突然再会するところから始まりますが、一つ一つがとても丁寧に描写されていると感じました。蓮視点、和真視点の中学時代の出会いのお話から二人が自然に惹かれ合ったことが分かるし、離れるきっかけとなった事件の夏のことも二人の視点から語られる気持ちにお互いへの想いが溢れていて、読者にも痛いほど伝わってきました。
また、夏の事件は思っていたよりも残酷で重たいものでした。全てにおいてタイミングが悪く、全てにおいて重い、最悪の展開に転がってしまった二人の運命が悲しく苦しかったです。この衝撃的な事件を作り上げた作者様の創造力は本当に凄いと思いました。そして、そこから苦しむ二人の姿、お互いというゴールを求めて努力する姿の描き方が本当に素晴らしいと思います。一緒に過ごした短い時間のキラキラとした輝きは、離れた時間にお互いを強く求め合う渇望した苦しみやその後の強く惹かれ合う想いへと繋がるもので、その展開は運命的であり愛だと思いました。和真がようやく告白出来たシーンは涙無しでは読めないくらい感動しました。
二人の運命の物語だけでとても素敵な愛のお話なので、その後の上司のセクハラ事件などはなくても良かったかなと感じました。社長の言動なども胸糞悪く、感動に水を差してしまったのが残念に思います。
とはいえ、和真の真面目さ、優しさと蓮のひたむきな想いが作り上げる二人の愛のカタチは必見の価値ありです。これぞ愛という二人の想いをぜひ感じて欲しいです。