皆さんおっしゃるように、絵が素晴らしく上手く、デビュー作とはおもえません。まだ表題作しか読んでないですが、
表題作、良かったです。
絵が綺麗なだけでなく、ストーリーを丁寧に、表現力のある絵で進めていくのでお話も浸み入ります。
このお話自体は実はシンプルな作りで、受けが、性的マイノリティである自分を受け入れられず、高校時代に傷つけて振った同級生と再会し、そこから、受けのこじれて捻れてしまった精神を、攻めがじわじわ癒していくお話なんですね。
作り自体はシンプルで、当て馬も出なければそんなに大きな事件もどんでん返しも起きてない。
なんですけど、見せ方の上手さと、画力の高さによる説得力、そして、BLに一番必要である「愛」をじっくり描いたことで、お話を魅せることに成功しています。
又、一部、主人公の行動が理解できない人達もいらっしゃるようで、それは当然、そういう方もいらっしゃって然るべきだと思いますが、昔から不器用を通り越して拗れている自分のような人間は、主人公の気持ちが分かります。
好きなのに嫌いなふりをしたり、関係がいつか壊れるのが怖くて先に進めなかったり、自分に自信が持てずに自分を責めたり、それで本格的に事態が壊れて益々自己嫌悪になったり。ちゃんと、自分の気持ちに素直に立ち回れる人には理解し難いような、心理行動を取ってしまう人っていて。
私は面白かったです。
同時収録の短編は可愛い子受けだったので、男前受けが好きな私はなかなか食指が動かないんですが、そのうち読もうと思います。