「密書でござる」「漫遊記」の作者さんですが、その2作のようなシュールな笑いはありません。その面白さを期待して読むと、肩透かしを食うかもしれませんが、こちらは、短編としての魅力がギュッと詰まっています。
たった51ページの中に、人情味あふれる物語が起承転結を明確にして成り立っていて、ほんのりBLの匂いも漂います。すごいなぁ。
子どもverの雪之丞が健気で、姿を変えてもなお可愛い(絵もすごく好きです)。奇をてらったお話ではないけれど、傍らに雪之丞がいるだろう喜久と九兵衛の物語をもっと読みたいなと思う面白さがあります。欲を言えば、口づけだけでなく目合いも見たいと思う腐的思考…。
(読み放題対象です)