モノローグを中心とした構成で、登場人物の揺れ動く心情や葛藤が細部まで伝わってきます。タイトルもそうですが、ところどころであえて漢字を使わずに平仮名で表記することで、読み手の想像の幅を広げていているところが心憎い演出でもあり、上手いと感じました。
また、キーとなるみさごが、主にひばりの目線で登場するのは、清澄がその死に責任を感じながらも、かねてからみさごよりひばりを優先していることの表れで、それも含めて映画的なこの構成が、本作の美しさを際立たせていると思います。
ただ１つ惜しいのは、表現力が構成力のレベルに追い付いていないこと。ストーリー自体もとても良かったので、もう少し表情だけで機微を表現できたら、美しさだけでなく作品全体に色気が増すのに、と、そこだけが残念です。(エラそうに上からですみません…)
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