初読み作者様。時代背景に惹かれて購入。戦後の上野が舞台で、愛した人の弟・吾郎×愛した人を亡くした男しょう・珠緒のおはなし。珠緒の過去も現在もただただ辛くて…合間に挟まれるかつての恋人・拓郎との幸せな想い出が余計に悲しくさせるんです。それなのにさらに辛いことが珠緒に起きて…もう正直ヤメテクレと思いました…。東京大空襲がうみだしたたくさんの戦争孤児などが上野駅周辺で過酷なその日暮らしを強いられていたことは本などで知っていますが、珠緒が男しょうに堕ちた経緯はハッキリとは分からない。最愛の人を亡くし自暴自棄になったのかな。とにかく…早く、一刻でも早く、素直になって吾郎と結ばれてくれ!と願いながら読みました。珠緒が壊れる前に吾郎が現れてくれて本当に良かった。珠緒の仕事が仕事なのでモブとのシーンなど地雷要素はたくさんあります。辛いシーンが多いので萌えとかはないのですが…明るい未来を示した終わり方に心底安堵しました。ハピエンだけどハッピーなだけの感情にはなれない、複雑な読後感のある作品でした。