吸血鬼ものって総じて切ないものは多いと思うんですが、こんなに切なくて儚くて尊いストーリーとこのきゅっとする読了感はなかなか味わえません。ユキの自分の考えがあって芯があって、冷静に理論的に考えられるところ、正直でありながら寄り添うこともできる真摯な姿勢がとても好ましかったです!そんなユキがジーンを知るために吸血鬼騒動の謎について知ろうとし、その過程でいろんな感情を知ってジーンに恋していく様がとても自然でした。愛を知ったユキとジーンのそれぞれの想いが切なくて尊い。ここだけでも大満足なのに、作中でもう1つのカプも在って、そのふたりもなんとも切なく悲しく甘い恋なんです、これもすごく良かった。ユキのくいしんぼうキャラも意外でかわいくて、周りの寮生、先生のキャラもすてきでした。ラスト描き下ろしやイラスト集もとても良かったです。その世のどこか、地図のない国シリーズで知ってファンになりましたが、ファンタジー要素や謎のあるストーリーがとても上手い作者さんだと思います。