去年の秋に購入した幻冬舎の単行本の帯に「秋のリンクスフェア2022」とあって、付いていたスペシャルクリアカードは「狐のよすが」でした。4種類ある中では一番私の気に入りそうな絵でした。その時点では、ミナズキアキラ先生を知りませんでした。
私は、自分の好きなイラストレーターが挿絵や表紙を描いている小説を主に選んで読んでいます。漫画は、好きな絵柄の漫画家の本しか読みません。
現在、余り読みたい本が見当たらなかったので、ミナズキアキラ先生の作品を検索してみました。私の持っているカードの絵は白い髪の白い着物を着たおさなごを抱いている狐でしたが、表紙の絵は黒い髪と黒い着物を着ている大きな羽根を持つ少年と狐です。
この作品は、リンクスに2020年9月号から2021年5月号まで5回にわたって掲載されたものに書き下ろしを加えて、2021年8月24日に発行されました。
本作の中では、狐と鷹は実際の姿で表されているいることもあります。しかし、擬人化されて、洒落た着物を着て、話す篤実や暖や青鱗達や九重やピー助の世界に私達は入り込んでいきます。彼等の言葉に笑い、そして、涙するのです。
私たちは、動物たちが実際に種族は違ってもお互いに助け合うのを知っています。
けれども、私達は同じ人間同士で、差別し嫌悪し憎み命を奪い合います。
それだからこそ、この物語のように生きていきたいと願うのでしょう。九重とよすがのように、誰かを、動物でもいい、自分と同じ様に生きているものを、心から慈しんで愛おしいと思って生きていきたいと思うのでしょう。