キャラクターの個々の個性、境遇、言動の過程、これらがとても綺麗に描写されていて、だからこそ王太子の婚約破棄は心を抉られましたね…大人の欲と都合、立場と権力、想い、それらの事情が緻密に影響しあって起こった全て「なるべくしてなったどうしようもないこと」で、苦しんできた主人公はいち早く離れるためにあの選択をするしかなかったが、主人公が唯一の救いだった王太子には何よりも酷だった…この行動を、主人公が罪として背負う決心をしてくれただけ本当に良かったなと思ってます。主人公、王太子、第一王子の全員が(直接的または間接的に)誰かに苦しめられ、誰かを苦しめる被害者であり加害者でもある本当に救い用のない感じが全員に感情移入できてしまうからこそ見ていて辛くて、キャラクターとして好きになりきれないけど、嫌いにもなりきれないんですよ…読み終えた後は消化しきれない感情が自分の中でぐるぐる渦巻いてただただやるせない気持ちになりました。胸糞まではいきませんが中々に重いので、最近のありきたりな量産型のライトな物を読む気持ちで表紙の可愛らしい絵につられてきてしまった方にはブラウザバックをお勧めします。