本編がとても良かったので続編であるこちらを読むのを躊躇していたのですが(名本編の続編って蛇足になりがちだから)、無料読みの機会におそるおそる手を出してみたら……良かったです。
善良で猪突猛進なティアと、なかなかの執着と非情さももってティアを絶対守るマンとなったセシル、いい夫婦。セシル、裏で手を回しはするものの、基本的にはティアを籠に入れずに尊重しているので、ヤンデレ気味ではあるものの微笑ましい溺愛のギリギリラインを保っているのが好みです。夫婦としてのパワーバランスも、セシルあってこそのティアであると同時にティアあってこそのセシルであるので、抜群の安定感なのが良いんですよね……夫婦はこういうのが良い……波乱とか要らないんじゃよ……。
で、こちら、続編として何が良かったかというと、「乙女ゲームの続編ではない」という点です。
ティアが悪役令嬢ポジションであった乙女ゲームの世界はきちんと本編で終わらせてあり、こちらはあくまで別の物語。割り切って新しいお話として読めるのが、私には合っていました。
ティアを愛でつつ、夫婦仲の睦まじさに親ポジションから頷きつつ、シーヘルビー国の恋模様の様子を少しドキドキと見守る……お菓子食べつつ読むのに最適。
ティアの善良さが周囲を明るくやわらかなものに変化させる様子は、「少女漫画」としての希望に満ちていてよろしいです。原作も、続編は5巻まで出ているものの、だらだらっと続かせるのではなく2巻ずつで話の区切りをつけているようなので、コミカライズも安心して区切りごとに追いかけることができそうです。