目が覚めたら片思いをしていた相手と同棲していて、しかも10年経っている。想像するだけでショックで、自分に置き換えてみたら現実として受け止めるのが難しそう。西田の場合、河原と同棲を始めてからは自分が覚えていられない時間も河原が覚えてくれていると考えると、側に誰かいるというのは幸せなことなのだと感じます。河原の方は、自分との時間を忘れられる辛さより、好きな人と時間を過ごすこと、それを自分が覚えていることを選んだということなのでしょうか。共に生活することの意味を考えさせられる作品でした。ざっと描いているような絵柄のお陰で、深刻なお話がさらっと入れるものになっている気がします。