時は平安時代。稀代の陰陽師としての立場を確立する以前の安倍晴明。
菅原道真や様々な怨霊達が都を闊歩する。
この時代の貴族達が考えている世界。神、仏、怨霊、、、
この作品が素晴らしいのは、平安時代の様相がリアルに描かれている所と、陰陽道の思想、理屈、理論を突っ込んで説明してくれる所。知識が得られる。
多分、文化人類学とかに興味があると、より一層楽しめるんじゃなかろうか。
原作者の夢枕獏は、第一話の百鬼夜行のシーンで、行列が上に、縦に延びているのを見て、岡野玲子凄い!!と漫画夜話で興奮して話していた。そのシーンに、次元の描写を感じたのだそうだ。
私は文化人類学が好きで、ポエムが、東南アジアや南米の土着の呪術の呪文と同じ形式のレトリックなのを見て、成る程世界は繋がってるフゥォオオッと興奮した。
名前を知られ、取られて呪術の力で支配される。たまに漫画に見られる設定だが、
何故支配されてしまうのか、名とは何なのか。
その理屈を、安倍晴明が滔々と語って、それが非常に分かりやすい。
理論で裏打ちされた呪術を、漫画の晴明が展開する。
九字と異層、宇宙から降ってくる隕鉄の意味、神剣の意味、神楽の意味などなどなど。
陰陽道、呪術世界の思想・理論を幅広く網羅し、その上で描かれた、
天から時代の役割を与えられた、鎮守国家としての陰陽師、安倍晴明。
フィクションながらも説得力があり、晴明の存在が立ちあがっている。
運命、道筋、歴史に置ける「場」というもの。進撃の巨人が(神)構成で描き出した所を、岡野玲子は感覚でやってしまってる感がある。後半かなりイってしまった精神世界だけど、それでも、ふんわりと分かる。
何でこんな事が出来るんだろう。
こういうのって、天才の描く漫画だな、と思うのです。