物語の核を中心に放射状に伸びたアンテナの数が驚くほど多いので、刺さったアンテナの数が多い私はど嵌まり。くり返し読めば読む程面白い漫画です。
アイヌ文化や日露戦争後の北鎮部隊など歴史上繊細なテーマを扱っていますが、そのディティールについては高い評価がありましたので、読者としては安心感を持って読み込めました。
物語のスケールの大きさに対して間延びのしないストーリー展開は、2年かけて構想を練られたという、作者と編集者の気迫を大いに感じられるものでした。
本編と二次を同時進行している様な不思議な感覚があり、物語の性質上、残酷な描写も多いはずなのに、悲しむ暇を与えないギャグの放り込み方が独特で個性的。読みはじめに感じた違和感が今ではすっかりクセに。野田先生の仕掛けたくくり罠にまんまとかかっています。
何よりキャラクターの魅力度は今まで読んだ漫画ではNo.1。これ以上が果たしてあるのか?と思えるほどです。素晴らしい…素晴らしい作品をありがとうございました(涙)
この大人気作品が与えるアイヌや戦争や北鎮部隊への理解については(自分自身全くもって無知な領域であるのをふまえて)読み手が頭の中できちんと漫画と現実を切り離し、考える事をやめずに現在進行形で深めていければ、本当の意味での作者へのリスペクトになるのでは…それだけは、忘れずにいようと思います。