神様なんか信じない僕らのエデン
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神様なんか信じない僕らのエデン

一ノ瀬ゆま

圧倒的神視点で楽しめるお話

2021年3月15日
オメガバースものは何作か読んできましたが、まず最初に数ページにわたって世界観の懇切丁寧な説明があるのが定石ですよね(違ったらスミマセン)。この作品はそれがありませんので、オメガバースの設定をすでに知っている人と未知の人(BL好きでそんな人がいるのかはわからないけど)、読み手によって全く楽しみ方が変わってきそうです。
登場人物の住む世界では、オメガバースは未知のもの。私はどんなものか知っているので、これは完全に神の視点です。なんだろう、例えばミステリ小説で最初に犯人がわかってて、その心理、動機やトリックをつまびらかにしていくような、それに似たような読み方になるのかな。
この設定は最初にやったもの勝ちというか、現状BLにおいて唯一のものとなったのでは。
それか、オメガバースで初モノを扱う小ジャンル(名称は「エデン」とかがいいな)が今後できたとして、それの第一号。いわば発明ですよね。新しい視点だったと思います。すごいですね。(ここまで書いておいて既出の作品があったらどうしようごめんなさいごめんなさい)
お話自体もとっても良かったです。読みながら、ああ、こうして人はすれ違っていくんだ、と考えてしまいました。相手を思いやって投げた言葉でも、受け手の捉え方や、その時の状態によっては悪い方に作用する。
攻めが頭脳明晰、生物学に明るいタイプで本当に心から良かったと思いました。馬鹿だったらひたすらやりつくして終わってしまう。。。これから喬は全力で西央を守っていくんだね。
7日間を経て最後に気持ちを確かめ合った二人の今後が気になります。心から続きが読みたい。擬態するスリルとかもなんかいい感じのスパイスとなりそうじゃないですか。とりあえずは作者さんSNSの描き下ろしを読んで我慢します。
前作giftでも感じたことですが、作者さんは心象風景や目に見えない部分を可視化するのがお得意ですね。アニメ化したらそういった演出がとても映えそうです。
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