NIGHTS BEFORE NIGHT
」のレビュー

NIGHTS BEFORE NIGHT

ナツメカズキ

『Mods』のスピンオフ。贅沢過ぎる一冊

ネタバレ
2021年4月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ はああぁ…素晴らしい物語でしたあ。個人的に、『Mods』よりもこっちの方が胸が苦しかった…。
『Mods』も『NIGHTS BEFORE NIGHT』も、時雨さんという存在が主人公を永遠に解けない鎖の様な物で縛り付けている感じ。春が10年以上も1人で眠れない夜を過ごしていたかと思うと、本当にもう辛くて…。11年前、時雨さんと春が最後に共に過ごした夜が、春が温かく眠れた最後の夜だったんだと思うと、胸が痛いです。その回想シーンがまた切な過ぎて…。でも、時雨さんは生きる事を辞めようとしていたわけじゃなく、シロ(と自分自身)を救う為に姿を消そうと計画していたんだと知って、それが、時雨さんが春に別れを告げた事への唯一の報いというか、救いというか、ある意味安心しました。だって、時雨さんが八方塞がりで途方も無い状況下にいて、それで結局身を投げる決断をしていたなら、それはただただ悲しいだけで、時雨さんを愛している残された人達には救いも何も残らないだろうと思うから。だから、結果としての状況は時雨さんの意図していたものでなかっただろうけど、時雨さんの意図していたプランには納得出来るし、そういうプランであって良かった。でも正直、時雨さんの境遇が見ていてダントツで1番痛々しいし辛かった…。
だけど何より、春に本当の意味での救いが訪れて良かった!本作は春の時雨さんへの想いがメインに描かれている気がするから、春の雪鷹への想いや2人の恋情模様ももっと見たいなあ。このシリーズ作品もっと続いて欲しかった!
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