青とジェント
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青とジェント

秋平しろ

まるで水を注ぐように、それに応えるように

ネタバレ
2021年5月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずーーーーっと読みたいと思いながら、ずーーーーっとカートに入れたままになっていた作品がセールに!(5/13までです)ありがたすぎます。

1話目から、京一さんが根っからのいい人と分かって、「あ、もう幸せの予感しかない。甘々の予感しかない」って思ったのに、中盤、なかなかのなかなかで、単なる甘やかしのサクサクシンデレラストーリーじゃないところが良かったです。王道シンデレラストーリーであることは間違いないのですが、何と言うか、ただ、お金持ちの境遇で相手をシンデレラにするのではなくて、言うなれば、相手の根っこの部分から育てるような優しくて丁寧で愛にあふれたお水のあげ方なのです。京一さんのテンポが、雰囲気が、空気感が、本当にいい。ふんわりと、それでいて、しっかりと直己を包み込みます。
直己は、あまり深く考えずに、おバカなことを思いついて、短絡的に行動に移しちゃいますが、それは、素直さの現れ。素の健気さや無邪気さは隠せない。きっと、今まで、そういうものと無縁だった京一さんが直己に惹かれるのも分かります。京一さんが注ぐ水に(親愛に)応えるように、すくすくと伸びやかに成長していく直己。考える余地もなかった将来に夢を抱きます。
そして、そこに加わる佐久間さん。彼の言っていること、やっていることは、京一と直己の気持ちを知っていれば、「そりゃないよ」って思ってしまいますが、客観的に見れば、理解できるし、もしかしたら、佐久間さんが京一と結ばれる道だってあったかもしれない。京一を想う気持ちは本物です。最後は京一の幸せを第一に願った佐久間さん。幸せを願って、京一の元に残ることにした佐久間さん。切なすぎる。。。あんな無表情でAIな佐久間さんだけど、また誰かを愛してほしいし、愛されてほしい。
ストーリーの「色」にもよりますが、相手が高校生の場合、卒業を待つという設定がとても好きで(いや、別に学校でとかじゃなければ、事に及んでも致し方ないと思ってもいます)、京一さんも直己の卒業を特別に考えています。それが嬉しくて、ことさら2人の初夜が幸せでした。ちっちゃなエピソードですが、お寿司屋さんとのやり取りとかもすごく好き。
満たされました。
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