double suicide
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double suicide

トジツキハジメ

再読してみて(ネタバレです)

ネタバレ
2021年7月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読では、痛みに対する苦手意識で漸く読み切った状態でしたので、数日経って再読してみました。
まず、そもそも『doublesuicide』。英訳で心中ですが、「心中」とするのか「2つの死」とするのか。
そして桂は兄を愛しているから食べたいのか、食べたい欲からの愛なのか。
そして曽祖父が食べたのは誰なのか。
本能的に肉を避けていた桂がリストカッターの品川さんと出会う。互いの願望が一致してしまったがために、品川さんの自死という予測せぬ事態に発展する。しかし、それにより桂の欲は溢れ出し、品川さんの死を利用するように兄を追い詰め始める。ただ誰かを食べたいのでは無く、兄を食べたい。食べる為に兄を手に入れようとしているのか、手に入れる為に欲が増しているのか、どちらにも見えて私の中ではまだハッキリしませんでした。いずれにしても、栖への愛情が潜んでいるのは確かですが。
庭の人影ですが、品川さんの死後は彼女の影でした。そして終盤恋人と別れた直後の影が栖に見えました…。…もしそうならば兄は死に近づいているのか。
そこで、最初から見えていた人影は曽祖父や父なのか?曽祖父に食された側の人間の可能性もある…?曽祖父にしては若く見える気がして。品川さんと同じ自死だしお父さんかな…。
巻末のスマホ画面、ニレの意味に悲しみの象徴とあります。曽祖父が植えたニレの木。悲しみの象徴として植えたならば後悔や自責の念でしょうか…。とすると、失いたくない大切な相手を食したのでは?と推測できます。戦時中南方に行った事と庭が余りにも印象的で、とすると戦友という事が想像に容易いのですが…。
そして、私は『doublesuicide』は桂と栖では…と思えてしまったりして(汗)
推測に推測を重ねている状態で、全く見当違いかも(笑)続巻で色々解明されてからまた冒頭から読みたいです。
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