double suicide
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double suicide

トジツキハジメ

色々考察したくなるお話(ネタバレご注意)

ネタバレ
2021年7月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1回読んでなるほど。すぐにまた読み返しました。いっぱい色んな事考察したくなるお話。これってこういう意味です?って読んだ方々に聞いて回りたい。ですので、ぜひ読んだ方レビューお願いします!笑。まず登場人物について。曾祖父→戦争中に人肉食べた。生を全う。祖父→兄姉は食人欲求はなく自分だけ。欲求を我慢しつつ生を全うするはず。父→食人欲求と付き合いつつも、息子(主人公)に食人欲求があることを知り絶望。自死。兄→食人欲求なし。主人公(弟)→食人欲求あり。兄に対し執着。品川→主人公の食人欲求を理解。自 殺行為を繰り返す。自死。作中人物の中で、食人欲求と性的欲求が結びついているのは主人公のみ。世俗のカニバリズムはおおよそが宗教的意味合いが強く、恋愛感情と結びつく場合は「異常者」が多い。行動原理として、好奇心や支配欲求故に人肉を食べるという方が理解しやすい。好きだから食べたいというよりは、好きだから傷付けたくない、故に食人欲求を我慢するという方が人間らしい。おそらく祖父や父はそれだったのではないかと思う。好きな人が自分のためにその身を差し出してくれるというのは甘美なことだろう。祖父や父がそれを我慢できたのは相手が他人だったからではないか。その点、主人公は相手が身内しかも自分を溺愛する兄。その甘えが主人公の行動に拍車をかけたのではないかと思う。ここまで考えてふと思ったのが、戦時中曾祖父が食べた(と思われる)人肉は曾祖父にとって特別な人だったのではないだろうか。そう考えると遺伝するだけの執着染みた念を感じます。愛する者を食べた呪いか、はたまた、再び愛する者を食べたいという渇望か。個人的には後者かなと思います。愛する者を食べたことの甘美さが曾祖父は忘れられなかったのでは。ダブルスーサイドの意味についても考える。作中自死したのは二人。父と品川。品川は共感性の鋭い人だったのではないかな。自分がどうというより、他人のことを慮る優しい子。主人公が品川の死を悲しむより、事態が好転したと考えた時点で主人公は「異常者」だと自分は思いました。主人公に希死念慮があるとは思えない。次にそれを考えるとしたら兄だろうな。ダブルが何を意味するのか。分かりそうで分からない…どなたか考察くださいませm(__)m。人間は行動がエスカレートするのが常。主人公が兄を食うのが先か。兄が自 殺するのが先か。はたまた違う道はあるのだろうか。
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