double suicide
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double suicide

トジツキハジメ

ミステリー系大好きです、考察してみた~

ネタバレ
2021年8月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォローしている方々のレビューで、サスペンスとかミステリーとか私の心をくすぐるワードがいっぱいだったのでこれは買いでしたね。読んで独特の世界観に思わず唸りました、面白い~!ちょっと刃物系の切り傷はイーってなるくらい苦手なんですが、露骨なモロッて描写が少なくて助かりました。
「double suicide(心中)」、他の方のレビューにもあったように私も栖と桂の二人のことのように思えます。桂が兄に食べたいという欲求をぶつけて、栖がそれを受け入れた時点で破滅的な一歩を二人して踏み出した感じがします。ことの発端は、恐らく曾祖父が南の戦地で人肉を食したことだろうと思われますが、その食べた記憶は悲しいかな、祖父、父、桂に遺伝してしまっています。栖だけ食べたい欲求が遺伝してないのでなく、私はまだ発症してなかっただけなのではと思っています。桂が兄の血を舐めた時(5歳)からのように、描き下ろしで桂が兄に自分の血を舐めさせているのでそれから発症するのではと推測しています。お茶を飲んだ時の微妙な反応。その後が描かれてないけど、なんか恐ろしいなぁ。
ニレの木の意味、作中ラストのスマホの文章を見るにウィキペディアで検索した内容と被るんですが、そこには以下のことが記載されてます。
「ギリシア神話では詩人で竪琴の名手だったオルペウスが妻の死を悼みニレの木の下で泣いたとされ、悲しみの象徴とされることもある」と記されているので、庭のニレの下の斑な人影は死した者への悲しみの表れ。曾祖父にとっては誰かはわからないけど食した人の死、お父さんや品川さんを悼んでいることの表れではないかと思いました。彼女と別れた直後、桂の目には兄の斑な人影が見えていることから、もしかしたら兄の死の予兆かもしれません。
何が正解とかはわかりませんが、桂と栖の歪んだ愛のかたち、話の奥深さに圧倒されましたー。
追記、最後の最後に書かれた言葉、二人がニレの木の斑の中にいるということは、二人のこれから先の死(つまりdouble suicide)を暗示しているんじゃないでしょうか…。
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