なつの遊戯 美術室の秘密
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なつの遊戯 美術室の秘密

恋煩シビト

お話巧者の作者に、まんまとしてやられた

ネタバレ
2021年8月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 76ページに3つの短編。3編とも最後に視点を半回転ずつずらされ「く…っ」とくる、してやられた感。巧みな話運びに悔しいけど踊らされ泣かされた。
【なつの遊戯 美術室の秘密】26ページ。女好きで人気者の後藤に密かに憧れている安部が一人居残る美術室に、後藤の幼馴染みの吉沢が現れて動き出すDK3人の関係が安部目線で描かれる。「用件あるなら…」から立ち始める○亡フラグに「志村(安部)~っ、後ろ~!」と思わず叫びそうになる(ご存知かな)。
【あきの遊戯 友達だけど肉体 関係】(タイトル…) 24ページ。前編の3人+1人の関係を後藤目線で描いたお話。10人中9人はきっと、彼をかわいそうと思うはず。彼が何をしたって言うの?と。あぁ、何もしていないよね…。だからこそ残酷。
【幽霊と秘密の性活~みだらに同棲中~】(いつぞやの三流サブタイトルの悪夢ふたたび)26ページ。澄彦(すみひこ)の前に現れた死んだはずの鳩羽(とば)。生前の鳩羽と澄彦のやり取りが可愛いだけに現実に対して二人それぞれが感じている悲痛さが生々しく他人事に思えず、一度読む手が止まりました。一つの言葉が真逆の意味を帯びて人を苦しめるその理由が胸に迫る。
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※作品は紹介文とは似ても似つかないお話です

短編には長編とは異なる短編独自のレビューの難しさがあると感じていて、あらすじ即ネタバラシになりそう、とは言え「取りあえず読んでみて」の連呼ばかりでも伝わらないかも知れず、何を捨て何を拾うか常に迷います…
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