寄越す犬、めくる夜
」のレビュー

寄越す犬、めくる夜

のばらあいこ

しんどくなりたい時に。

2021年9月1日
しんどくなりたい時に読む本。不憫BLの中でもトップクラスと思う名作。面白さは保証します。ただ話の性質上、好き嫌いはあると思う。暴力的な描写に地雷がある方は要レビュー確認。普段、あんまり可哀想な話は好きじゃないんです。可哀想な目に合わせるためだけの話の展開に少しでも違和感を感じると萎えてしまうんです。可哀想って感情生むための舞台装置ってやり過ぎたりすると白けてしまう。そんなに可哀想な目に合わせなくたって…って。けど、このお話の不憫さには何も言えなくなってしまう。押し付けがましさがなくて、それでも読者に有無を言わせないシビアさがあって、ただただ引き込まれる。例えば、全く悪意のない言葉がざっくり人を傷付けてる様が読者には見てとれる。そういう作りに凄味を感じる。登場人物達当人達はその時気付いてないだろうけど。そういう細かいことが度々重なっていくのが見てられない。見てられないのに止まれない。それからこのお話のすごく好きなところは登場人物達が悲劇に浸ってないところ。可哀想な自分を可哀想がらないで、彼らなりに自分の望みを叶えようとしているところ。やっぱり"頑張ってる"人の話は見てて読み応えある。だから、どうか、全員救われますように。しんどくなりたい時にぜひオススメ。疲れた時は鬱いBL読むのも一興。ちなみに、読む前に念のためラブラブハッピーなBLも確保しとくといいですよ笑。激辛食べる前にヨーグルト飲む的なやつ。と、色々言いましたが、悲惨な訳じゃないです。だからこそ名作。
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