君とハネムーンにさらわれて
」のレビュー

君とハネムーンにさらわれて

野津いぬま

彼らの親友としての深い深い愛情

ネタバレ
2021年9月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 久野が吉永を想っていた10年間を思うと、どんな形の結末であれその恋が叶わなかったという事実は本当に辛くて耐え難いです。それでも久野が彼自身の片恋を終わらせようと思い、吉永が結婚する前に想いを伝えて彼を諦めると決心したのなら、久野の中ではこの恋にけじめを付ける事ができたのかな。だけど、久野はどんな気持ちで「俺と結婚してくれ」と吉岡に言ったんだろう。その言葉は久野の本気の願いだったんだろうなあ。苦しいです。
久野に気持ちを伝えられても尚、「俺はなぜか安心していた、このハネムーンが終わってもたぶん俺たちは変わらない」と吉岡が思えるのは、彼らが10年の間で大事に築いてきた親友としての絆や愛情が土台として確立しているからなんだろうなあと思いました。どんな事があろうときっと彼らの親友としての深い関係は変わることはないんだろうなあ。美しい友情ですが、ある意味久野にとっては皮肉な事なのかもしれない。
久野の「今日が俺の人生で一番精一杯だったよ」という言葉には号泣でした。辛いけど、優しい優しい物語でした。
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