雨だれの頃
」のレビュー

雨だれの頃

桃子すいか

読後ショパンの雨だれを聴きながら反芻する

ネタバレ
2021年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終わって、ショパンの雨だれを聴きながら、作品を思い返してみました。色んな感情が湧いてきて、混ざり合って、どうにかなってしまいそうですね。すごく幸せな気分なんだけど、同時に物凄く感傷的な気持ちにもなります。
雨だれを聴きながら、学校の教会で優と美くんが椅子に腰掛けて会話してる様子を思い出すと、思春期だった彼らの瑞々しく真っ直ぐな想いをより一層鮮明に感じる事ができそうでした。卒業式の日の教会での2人の姿にも号泣でした…。その後の彼らの行く末は知る由もないんだけど、卒業の日に教会で「ヨボヨボのじいちゃんになってもおまえとバカやってたいんだよな どんなかたちでもいいから」と言った美くんの言葉があるから、きっと彼らは何十年と歳月が経ってもじいちゃんになっても、最後まで2人そばで寄り添い続けてるんだろうなあと安心して想像できました。この最後の教会でのシーンはまじで泣いた…。キーホルダーも、、やばいです。可愛すぎます。
失恋してわんわん泣いていた宿崎くんも、大人になってもっと広い世界を見て、彼が彼として心から心地良いと思える居場所を見つけられていたらいいな。宿崎くんならきっと大丈夫ですね。
ナレーションとしてのモノローグが、この物語を過去の出来事として語っていて、それがこの作品の空気感を何倍も切なく懐かしく感慨深いものにしているなあと感じました(この一人称で「僕」と語るナレーターはきっと美くんなのかなと僕は思いました。彼のメモワールを語っている様な印象)。そしてそのモノローグがまた最高に良いんです。。桃子先生の選ばれる優しくて美しい言葉たちが心に響きます。
桃子先生の作風好きだなあと思い、連続で読んでみましたが、やっぱりこちらも好きでした。ファンになりました!彼らのその後も実は気になる、読んでみたい…というのも本音です!
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