胸にとげさすことばかり
」のレビュー

胸にとげさすことばかり

雁須磨子

ある年齢以上の世代にグッとくるはず。

2021年9月23日
BL、少女、女性漫画と多岐ジャンルに渡って描かれているストーリーテラー作者さんの上下巻でじっくり描かれる酷い目にあった隠れゲイくんのお話。リストラされ恋人に逃げられ痴漢に間違われけちょんけちょんなところに、遠く離れて何年も会ってない実家の父が急死したと連絡を受ける。10年ぶりくらいに地元の田舎に帰ったら、自分の性嗜好を蔑んだお堅い教師だったはずの父は、生前自分の全く知らないところで借金をしていてイケメン男性と同居していたらしくて、、、というお話。いやーこの作品はほんとチクチクきますね。私の状況と少し重なるところもあって。いま実家の父が倒れたら、駆けつけるのは私だけのはず、なんだけど、ほんとにできるかわからないし、ないとは思いたいけど私の知らないところで何かがあって、後にザクザクと発掘されたらどうしよう。
この作品のメイン隠れゲイくん、あとに借金と男が遺るってかなりの悪クジの様な気がするけどほんとはどうだったのなぁ。知らなかった見ようともしてなかった父の姿が周りの人から語られて徐々に像を結んでいくところが上手い〜って思います。完全なハピエンではなくて、それでもふたりの日々は続いてく、っていう描き方も好きだな〜
いいねしたユーザ18人
レビューをシェアしよう!