秘密 -トップ・シークレット-
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秘密 -トップ・シークレット-

清水玲子

30年来、魅了され続けています

2021年10月2日
30年来、ずっと紙で購入している作者様です。最初に心つかまれたのは『月の子』。小学生にはきっと難しかったと思うのですが、子どもながら、その美しい絵と胸が締め付けられるストーリーに魅了されていたのだと思います。それは、大人になってもずっと変わらず、先生の作品を愛しています。
この夏、続編『~season0<悪戯>』が完結しました。本当に長い間、このシリーズ(テーマ)で描いてこられた先生に脱帽し、描き切ってくださったことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。(現在は、新章準備中とのことで、嬉しい驚きです)
『秘密~トップ・シークレット』を初めて読んだとき、いずれ、このような世界が訪れるのだろうか…と衝撃を受けました。こんな恐ろしいことはない。目をつむって生きるしかないじゃないかと、そう思ったような気がします。言いようのない、漠然とした恐怖だったように思います。
レビューを拝見して、「生きることの恐怖と同義」という言葉を目にして、自分の感じた怖さの答えを見たように思いました。
12巻という長編でありながら、毎回新鮮な驚きと心に揺さぶりを与えられ、時に絶望を味わわされる中での一筋の光に…手を伸ばしたくなります。
人の発する残酷さと内包する醜さを、こんなにも美しく、ドラマチックに描かれる方が他にいらっしゃるだろうかと思ってしまいます。ストーリーで言えば、存在すると思います。けれど、皮膚を剥がれた顔、腹を裂かれて溢れ出る臓物、バラバラに引き離された肢体、それら含めて目をそらすことができない美しさは、作者様ならではだと思います。
フォローしている方のレビューをなぞっているようで、申し訳ないのですが、感じるところが同じと言うことでお許しいただきたいです…。
巻数多く手が出しにくいかもしれませんが、事件ごとに区切られていますので、1・2巻だけでもお試しいかがでしょうか。
1巻「大統領編」と2巻「一家惨殺事件と少年の死」は、全シリーズ通して特に胸が締め付けられ苦しくなります。いつ読んでも、何度読んでも、あふれる涙の正体を知りたくなります。
そして、作者様のあとがき。時代の闇、不偏の闇へのアンテナと洞察、絶えない好奇心と探求心、お茶目な発想…作者様への尊敬と敬愛の念があふれます。(700)
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