片道映画一本分
」のレビュー

片道映画一本分

日乃チハヤ

読んで、読んでぇ。最高だよ。

ネタバレ
2021年10月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ うわぁ、もぉ、めっちゃ好き。これ好きだぁ。デビュー作とは思えないくらいの仕上がりにビックリ。
『人間観察同好会』も楽しくて面白かったですが、またちょっとタイプの違う恋模様がハマりました。

映画館を舞台の中心に、メガネくんとチャラいアイツの二人の関係の変化が、絶妙に描かれています。マイナスな印象から、フラットな状態になって、芽生えた感情がゆっくりと息づくまで、その微妙な心の揺れがたまりません。
一人でゆっくり好きな映画を見たいのに、いつも隣に座るアイツが邪魔して気になって…
なのに…
まだ形にもなってない不確かな関係で、その関係に名前もつかないような間柄。気になるのは邪魔だから?メガネくんは、その不確かなものに名前が欲しくて、確かなものが欲しいのがわかります。ちょっとめんどくさいけど、徐々にステップアップしてからってタイプかしら。そして、アイツは曖昧な感じでも、そこに確かなものを感じ取ってますよね。全く違うタイプの二人だけど、何故か一緒に居るのが心地よくなってるその空気感が、自分の一部になっていたとしたら…
ただ会いたくて。会うための理由が必要で、ただひたすら会いに行く。もぉ、キュンです。キュン。
めんどくさい男・メガネくんはやっぱり面倒くさくて、素直になれない意地っ張り屋さんですが、自分の知らないアイツを見る気分は完全なるジェラシーで、なんだか可愛いメガネくん。
彼らを取り巻く周りの人たちが、みんなそれぞれいい味出してて、館長も映画館の女子二人組も、アイツの友達もみんな楽しい。彼ら彼女らの反応が、二人の関係性の進展を表してるようで、上手いなぁ、作者さん。
ふわふわとした関係から、形のはっきりしない感情が生まれ、恋心に育つまで、す~っごく素敵な流れで展開してました。告白もエチも一切ないけれど、ついしちゃった『ちゅう』が可愛いーーーっ。
いつもの映画館、待ちきれないメガネくんもとっても可愛いかった。もぉ、好きじゃん。好きしかないじゃん。物語の結び方が気持ち良かった!
これは、何回も読み返しちゃうなぁ。好き。
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