メロンの味
」のレビュー

メロンの味

絵津鼓

大切な誰かに、自分自身に優しくあろう…

ネタバレ
2021年10月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ はぁ〜…放心状態。もう感無量ですね。読み終わって少しの間、ぼーっと動けなくなりました。絵津鼓先生の新刊、素晴らし過ぎる、、とても好きでした。ただっ!空が一日中暗い雨の日に読むんじゃなかった…泣。
木内さんの言葉や、木内さんが雨の日や低気圧の日は調子が悪いとか、暗い部屋で電気も灯さず悶々としてる姿とか、何があるというわけでもなく突然涙が出てくる姿とか、そんな彼の様子を見て、自分もそうだった時そんな状態だったなあ…と思い出して複雑な気持ちになりました。程度は違えど、誰しもが経験する心の浮き沈み。フォローさんが書かれている様に、木内さんに自分を重ねたり、自分も例外じゃないなあと思う方、沢山いらっしゃると思います。自分もそうでした。だからこそ、心の深い深い深いところまで響いてくる作品でした。
こんなにも読者の心にまるで直接触れている様な描写ができるのは、絵津鼓先生ご自身がそれを実際に経験されているから、というのもあるんだなあと、あとがきを読んだ後に感慨深いものがありました。どうしようもなく辛い時、そばでただ寄り添い支えてくれる人がいたらその存在がどれだけ大きいか、その優しさがどれだけ心の支えになるか、木内さんとナカジョーくんの物語を通して切に伝えてくださった絵津鼓先生の優しさに、目頭が熱くなります。絵津鼓先生の作品、本当に大好きです。
また、コロナ禍の様々な影響により、多くの方々のメンタルヘルスが特に不安定になり脅かされている中で、こういう作品が単行本として刊行された事に、意義深いものを感じました。大変な時期だからこそ、大切な人に、そして自分自身にも、優しく寄り添ってあげたい、そう思わせてくれる作品でした。素敵な作品に出会えて、心から感謝です。
いいねしたユーザ52人
レビューをシェアしよう!