インディゴ・ブルー
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インディゴ・ブルー

やまじえびね

型にはまった前提がないからリアル

2021年10月29日
やまじ先生の『LOVE MY LIFE』に惚れて、やまじ先生にも惚れて、他作品も今ちょうどセールになっていたので即ポチッとな。スーパーラッキーです。
こちらの作品も本当に本当に良かったです。主人公ルツの、自分の性自認が一体何なのかわからないという戸惑いや、自分はどんな立場として抱かれたいのかという疑問、そしてルツにとって龍二さんはどんな存在で、環さんはどんな存在なのか……明確な答えを見出せないまま常に自問自答を繰り返しているそんなルツの姿が、本当の意味でとてもリアルでした。状況や(生物学的な)性別はルツのそれと違っていても、ルツの境遇や感じ方、言葉は、世の中にいる似たような思いを抱えたたくさんの人々の表現し難い気持ちを、ある意味代弁してくれているなあと感じました。
どれだけ問うて考えて悩んでも、「わからない…」とどうしても感じてしまうんだから、しょうがないですよね。わからないものはわからない。ただその事実があるだけ。自分がどれに当てはまるとか当てはまらないとか、そういう前提、あってもなくてもどちらでもいいですよね、と僕は思います。もちろんでもやっぱり自問する事もやめられないのですが。
ルツ、龍二さん、環さん、3人の恋愛模様も淡々と落ち着いた作風で描かれています。3人それぞれの恋の行方にとても切なくなりました。今回もやまじ先生のあとがきに胸打たれました。
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