[poor] (プア) ゼラニウムの誘惑
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[poor] (プア) ゼラニウムの誘惑

郷田マモラ

面白い。

2021年11月8日
読み放から。
1つの殺人事件が起こった。犯人は明らか。
そういう殺人事件を5巻かけて描かれているお話。ミステリーとかトリックがあるわけではない。ただ、何故犯人が被害者を殺すに至ったか。
読者は全てを把握できる立場で読める。犯人側の心情も、地道に犯人の足取りを追う刑事の心情も。それ以外の人達の心情も。人間の心が蠢きそれらが収束していく様は圧巻。面白い。
タイトルにあるpoor。作者様が表現したいこと伝えたいことがよく伝わってくる。それでも特徴的な絵柄のおかげと思うが、押しつけがましくなくて凄くいい。
個人的に思うことがある。誰が悪いとか何が悪いとか、原因はあるのだろうけど、それらを突き付けられたところで読者は何も出来ない。例えば、書き手の怒りをぶつけられてもたじろいでしまうばかり。こちらのお話にはそういうのがなかった。言いたいこと伝えたいことは力強くあると思う。そうでないと描けないお話と思う。それでも、それが、直接的ではなく間接的に読み手に伝えてくださるのは作者様のお人柄だと思った。
最後まで面白かった。登場人物の多い作品だけれど、分かりやすく描き分けしてくださってるから読みやすい。特徴的な絵柄だけれど、それがすごくいい。
レビューで皆様絶賛は納得。すごい才能だ。そして、それを電子書籍化してくださった方の想いにも感動した。
有名無名に限らず世に数多ある人の心を動かす作品たち。無名にあたるものはどうしても手にとる機会が少ない。それをどうにかしたい、と行動してくださる方々がおられることにただただ感謝です。
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