雷神とリーマン
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雷神とリーマン

RENA

心優しき愛に泣けて、泣けて…

ネタバレ
2021年11月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 面白くて、一気に引き込まれて全巻一気読みしました。そしてじわじわとやって来る感動に、溢れる涙が止めどなく流れて、心の震えがおさまりません。この想いを誰かと分かち合いたい、そんな風に思わせてくれる素晴らしい作品に出会えた事に感謝しています。何度読み返しても、涙が枯れる事がありません。どうか、手に取って読んで下さい。
永遠に存在し続ける事で孤独を纏うなら、人間となって生きたいと願う雷神様・雷遊。突然、大村の前に現れて居着くのですが、この雷遊のキャラがとても好き。子供のように無邪気で素直。純粋無垢でまっすぐで真っ白な心。読み進めるほど、私の中でとても愛らしく、とても愛おしい存在となって行きました。二人の間に生まれた絆を見ながら、どのような形でも共にある事を願いながら読んでいました。
雷遊が大村と過ごした日々は、確かに人間として立派に生きて来たと思うのです。雷神として目に耳にして来た事は、『記録』として残っていくとしても、雷遊が大村と見た桜の花や水族館や数々の忘れられない『思い出』は、大切な『記憶』で残るんですよね。そうやって過ごして愛というものを知って、愛し愛された事が人として生きた証しなんだと思うのです。
最終巻の『二人の一生』はセリフがほとんどなく走馬灯のように流れて巡るのですが、この間は涙が止まりませんでした。命ある限り、共に雷遊と人生を歩む事が出来た大村にとって、生を終える間際まで幸せだった事でしょう。終わりを迎えるその日まで絶えず寄り添い、大村の心臓の音を聞きながら最期を見送り、ずっと離れずにいた雷遊はどんな思いだったのでしょう。愛する者を失い一生独りで遺された者の哀しみを背負う雷遊を思うと胸が押し潰されそうです。その哀しみが『生の痛み』だとしたら、『人間』としての痛みを身を持って知った。共に年を重ねて老いたかったと流す涙は、まさしく至宝の愛なのです。人として生きて、大村と過ごした日々は幸せであったし、雷遊の記憶から消える事はないですね。二人で見た桜の木が朽ち果てるまで、ずっと側を、離れなかった雷遊の愛に涙が止まりませんでした。雷遊の想いは決して朽ち果てない事でしょう。『もう一度会いたい』それは魂の叫び。彼の心の中では、大村はずっと生き続けるのだと思います。

深く熱く胸に焼き付けられました。この想いと、雷遊の涙は決して忘れる事は出来ません。
この感動を、ぜひ…
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