エンド オブ ザ ワールド
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エンド オブ ザ ワールド

真行寺ツミコ

私は神童ではなかったけれど

ネタバレ
2022年1月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作、姉川教授と自分を重ねてしまいました。
そして、本作の後に読んだ『車輪の下』の友くんが重なりました。

私も幼い頃から、誰かと出会えば決まって「変わってるよね」と言われ続けた様な人間なので、周りが一歩引く空気とか、ズレている孤独とか恐怖みたいなもの凄く分かります。
誰にも見せない自分だけの世界作ってました…いや進行形かな(笑)

そして『車輪〜』の友くん同様、他人からのイメージと実際の自分とのギャップがかなりあるらしく、本当の自分を知って驚かれたり引かれる事が多々ありました。なので、友くんが自分を見失ってしまった気持ちもすごく分かる。

私の中で、本作の友坂君と篠田は同じ様な存在でした。
主人公の隠すように抱えていた自己を認めてくれて、閉ざされた世界から引き出してくれた人。
自分と重ねて、そういう人と巡り会った時の世界の変わり様を追体験しました。

両作を読んで、ありきたりですが、ありのままで居られる事が素敵だと感じました。
そして誰かと関係を築く前に、自分の世界を認める事が不可欠な気がしました。
それにはその世界を認めて分かっていてくれる人間も不可欠だと思います。
たった一人で良いんです。
親子、恋人、夫婦、友人、又はそれに当てはまらない人と人としてであっても良いと思います。

本作のお弁当屋さんもそうですが、私は真行寺先生の作品から、生きるのに不器用な人間への愛みたいなのを感じてしまいます。
大好きな作者さんです。
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