ほたる君、きみは【分冊版】
」のレビュー

ほたる君、きみは【分冊版】

三田織

ちょっと泣いちゃったよね…

ネタバレ
2022年1月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 恋愛絡みで変なふうに囃し立てられて、慌てた結果誰かを傷付けてしまうって、思春期に起こりがちな出来事ですよね。「あの時はごめんね」って言いたい相手や思い出を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

しかもこのお話の松尾くんはゲイ。もしこれが拗れたら、松尾くんに深い深い傷を付けてしまうだろうなと泣きそうになりながら読みました。
結果的に、恐れたような嫌な出来事は起こらず、優しい結末を迎えましたが、なんだかほろ苦くて、結局泣いてしまったよね…。
電話で、日吉くんが言い難い言葉を先回りして言ってあげる松尾くんの優しさがなんとも悲しい。電話で良かったのかも。電話切ったあと泣いたよねきっと。終始穏やかな松尾くんですが、中学の言えなかった恋とかの様々な葛藤を経て、今の松尾くんがあるんだろうな。

日吉くんはヘテロで、この後も絆されてラブになったりはしないんだろうな〜と私も思いました。
でも日吉くんが花火よりほたる祭りを選んで、松尾くんの寂しさを気遣ったこの日の思い出が、きっとこの先の松尾くんの人生を暖かく心強く支えると思うんです。

切ないだけじゃなくて、松尾くんがちょろっと図太さも見せて、読後感が明るくて良いですね。
2人は親友のようになって、日吉くんは明るくて良い子だけどやっぱりちょっと無神経で、好きな女子の話とかしちゃって、松尾くんはそれをニコニコ聞いてあげながら、こっそり心で泣くのかなって、そんな未来を想像しました。
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