薔薇王の葬列
」のレビュー

薔薇王の葬列

菅野文

起承転結の転が凄まじい

ネタバレ
2022年2月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は絵が綺麗なことと、アニメが今放送しているということで、無料版のところだけ読もうと思っていたら、面白すぎてあれよあれよという間に16巻まで読んでしまいました…。もう起承転結の転続きで、ページを捲る手が止まらない!!ぶっちゃけ最初は、男女両方の性をもつ悪魔の子として生まれたリチャードが歴史の影役者としての生き様を描いたストーリーなのかな?って思っていたんです。だってどう考えたって王にのし上がれる素質があるとは思えませんし。なのに物語が進むにつれて成長と、孤独と、絶望と、希望と、渇望と、いろんなものを味わいながら成長していくリチャードが王の頂へと君臨する。その危ない綱渡りを見ているような感覚は、まるで読者の私も家臣として一緒に王座へと連れて行ってもらっている気分でした。王になってからも、いつその座から引き摺り下ろされるのかとドキドキはらはらが止まりませんし、何よりそれぞれの蠢く愛憎がどこに終着するのかすごく楽しみです。まぁ「リチャードが色狂いになるのガッカリ」だとか、「恋愛に左右されない主人公であってほしかった」だとか、「歴史を都合のいいように描いた恋愛ファンタジー」だとか、いろんな意見が飛び交うような作品だとは思いますが、それこそが逆にこの物語の魅力だとも思います。この時代背景や歴史を織り交ぜながらでないと描けないような激情と、リチャードの芯が揺らいでいく人間らしさ。全く軸のブレない主人公より私は好感が持てました。弱さや脆さ、縋りたい部分があってこその人間だものね…。最近は少女漫画あまり読まなかったんですけど、これはハマりました!最終巻の発売を楽しみに待ちます!
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