奇子
」のレビュー

奇子

手塚治虫

リアリティ

2022年2月18日
黒手塚と呼ばれる作品。
いつか読むぞと決めていながら、躊躇もしていました。
いざ読んでみると、どんどん読めてしまうし、
先が気になって一気読みでした。

確かに内容はダークですが、
天外家の人物像や生き様が、何ともリアリティがあって、彼らの動向から目が離せなくなりました。
下山事件など実際に起きたことがベースになっているようですが、このリアリティはそういう処から来るものではないと感じました。

客観視すると何とも残忍な事が起きているけれど、戦争に行った祖父、厳しい時代を生きた祖母、戦後の空気が残る中育った親から手渡された感覚が何となく自分の中にあって、全く知らない世界ではない…と感じました。

天外家の中で、私は伺朗にシンパシーを感じました。
奇子はもちろんですが、彼の印象がとても深く残りました。
それから母ゐばですよね…うん…。
それを含めて是非ラストまで読んでみて欲しいと思いました。
いいねしたユーザ12人
レビューをシェアしよう!