少年の境界
」のレビュー

少年の境界

akabeko

運命の番クロスオーバー↕↔良作です。

ネタバレ
2022年2月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ ゆか、薫、大我、倫、4人の運命が境界線を越えて交じり合う少年から大人への物語。
3冊ありますが、「え!?終わり!?」と驚きました。あっという間に読み終えてしまった、という驚きです。中身が薄いのではなく、とても読みやすいのです。重くなりがちな設定を、深みを持たせたままテンポよく読ませるという技がすごいです。夢中で読んでいました。いくらでも悲惨にできる設定でそれを選ばないのは、作者様のカラーかなと思います。(他作品からも感じます)
4人が運命に翻弄されながら、信じる愛を貫こうとする姿が良かったです。そこまで深い愛でありながら、2人よがりでないところが、この作品のもう一つの良さだな、とも思いました。
それぞれに山場はありますが、個人的に、大我の苦悩があふれる2巻終盤から3巻にかけての倫を愛し抜く覚悟に、グッときました。心身ともに薬に蝕まれたオメガなんて、言葉通り放っておきそうな奴なのに…。倫の幸せを願って涙を流すなんてね…。オメガや学歴のない人を下に見て、バカにする社会に染まる人間の姿は、現代の差別や格差に通じるなと苦しくなりますが(オメガバが苦手な理由の一つデス)、そんな自分を変えるのも、社会を変えたいと思うのも、始まりは目の前の人や身近な人への「思いやり」かもしれませんね。どんなカタチであれ、人を思うということは尊いなと思いました。彼らの言葉と行動の一つ一つが胸に迫ってきました。
大人になり切ってしまった人間(私)が、少年たちの成長に教えられることが多々あります。
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