弟の夫
」のレビュー

弟の夫

田亀源五郎

ほんとにほんとに良い作品

2022年3月3日
数年前ドラマを見ていたので、原作もいつか読んでみたいと思っていました。先に読んだ『僕らの色彩』が良かったので、すぐに本作も読み始めました。

『僕らの〜』に引き続き、また最終巻で泣いてしまいました。
中盤で泣き始めてから結局あとがきまでずっとボロボロ泣いてました。

お話の間にゲイカルチャー講座というコーナーがあって、とても良かったです。
「カミングアウト」「ゲイプライド」などの言葉に込められた思いなど、知っている様できちんと理解していなかったのだと気付かされました。

『僕らの〜』でも痛感しましたが、当事者である先生からしか出てこない言葉、表現があると思います。
決して派手でも押しつけがましくもないからこそ、あぁ、分かった気で居て、分かっていなかったんだと。
特別ドラマティックな訳でも、新しさもないのに、気付かされる部分が多いです。自身の無知という生温い部分にサクっとナイフが刺さる様でした。
そして、あえてゲイでない主人公目線で描かれた事に、先生の想いとか愛が詰まっている様に感じました。

セクシャルな事に限らず、こういう事はあるのだと思うし、そして生き辛いとか肩身が狭いと感じている人間を励ましてもくれる作品だと思います。

ドラマも把瑠都さんが驚く程マイクにピッタリで、佐藤 隆太さん、夏菜ちゃん役の子役さんも本当に好演されているので、原作・ドラマ共にオススメです。

毎度作品やあとがきで感じるんですが、田亀先生、本当にお優しい。何だろう人柄って、絵や活字にも滲み出るんだと感じます。
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