蟷螂の檻
」のレビュー

蟷螂の檻

彩景でりこ

宿主を喰らい尽くすハリガネムシ

ネタバレ
2022年3月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ ハリガネムシ典彦が非道すぎて、さち子〜助けて〜と終始さち子に縋りながら読み終えました。
突然ですが典彦のひっそりキモ怖いところ
【その1】5巻の感動の再会(!?)で育郎の顔をみて凶器ぽろりしたところ。表情いかんではその場でヤるつもりだったなこの野郎。
【その2】大学卒業を待たずに育郎を実家に戻るように仕向けたところ。遠距離我慢できない自己中。それか悪い虫がつくのを察知したか。怖い。
【その3】2度目の貫通時に殺すの殺さないのと物騒なお喋りするところ。それエチ中にする話じゃないから。流石言葉責めもサイコパス風味。
【その4】たぶん美都枝も殺してる。きっとそう。
【その5】なんでマムシ酒持ち歩いてるの?キモッ…て思ったけど、どうやらマムシ酒には火傷とか傷とか治す効能があるとかなんとか。ついに狂って変なモノ飲み始めたゾとか思っちゃったゴメン。

本作品、4巻まで読んで、典彦、政蔵、美都枝と當間家の伏魔殿ぶりに慄いてましたが、5巻ですごいラスボスキャラが明かされたなと。この魔性が諸悪の根源じゃない?祖父も父も典彦父も狂わせたし、美都枝を発狂させて蘭蔵の障害の原因作ったし、蘭蔵はこの人の身代わりだし、結果的にこの家で典彦というモンスターが生み出された。過去と現在を行ったり来たりしながら明かされていく各々の境遇。何度も差し込まれる無垢な赤子のカットが眩しいし哀しい。蘭蔵の正常だった最後の記憶だし、それは弟を慈しむという生きる原動力。最終的に蘭蔵が慈しむ相手は健一なのか〜嫌だ〜健一嫌いだ〜。
飯田くんは、別作家さんの闇系傑作「心を殺す方法」の英先輩みたいだよね。光の人。そして好きな相手ととことん噛み合わない存在。好きです。

でりこ先生のエチシーンはほんとエロくて最高です。途中は物語の闇に引き摺り込まれてそれどころじゃないのですが、完結まで読んで納得してから再読しますと、濃厚エロがそこかしこに散りばめられていまして、シチュエーションもイン靡でたまりませんでした。育郎の中にひっそりと潜り込んで、何年もかけて腹の中を喰らい尽くし、気づいた時には空洞。主体性を失い、ただ抱かれ、最期を待つ宿主。典彦なら言葉通りその肉も喰らうのではないでしょうか。

そして、小冊子のPW8文字、まんまとcncnって何回も打ち込んで、あれ〜?ってなりましたw でりこ先生、たくさん楽しませて頂きありがとうございましたw
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